デザイン思考とは? 5つのプロセスと役立つ フレームワーク
デザイン思考についての画像

デザイン思考とは? 5つのプロセスと役立つ フレームワーク

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デザイン思考(デザインシンキング)とは、ユーザーの視点に立って自社が提供する サービスやプロダクトの本質的な課題やニーズを明らかにし、ビジネス上の課題を 解決するために役立つフレームワークの1つです。

この記事では、実際の事例をご紹介しながら、デザイン思考の5つのプロセスや 役立つフレームワークをご紹介します。

また、記事の最後には無料で使えるデザイン思考ツールやテンプレートもご紹介している ので、ぜひご確認ください。

それでは、デザイン思考について見ていきましょう!

デザイン思考とは?

デザイン思考とは、デザイン手法やアプローチをビジネスや問題解決のプロセスに応用する 考え方のことを指します。

元々はプロダクトデザインの分野で用いられていた手法ですが、その普遍的なアプローチが 多様な分野の問題解決に応用可能であることが認識され、幅広い分野で採用されるように なりました。

デザイン思考は、ユーザーのニーズを中心に考え、ユーザー経験を最適化することを目的に 使用されます。

これは、単に実際の製品デザインだけをブラッシュアップするだけではなく、実際の 使用者(ユーザビリティ)の視点を最も重視するアプローチとして活用されます。

また、デザイン思考は、失敗を恐れず、素早くプロトタイピングし、テストを行うことで 継続的に改善を試みるという繰り返しのプロセスになります。

このアプローチは、従来のトップダウン型の意思決定や問題解決の手法とは異なり、 ボトムアップ、ユーザー中心の方法論を採用しています。

デザイン思考は、複雑で変動的な現代社会の課題に柔軟に対応するための有効な アプローチとして、多くの組織や教育機関で採用されています。

デザイン思考の5つのプロセス

デザイン思考にはハーバード大学デザイン研究所のハッソ・プラットナー教授が提唱した 「共感」「定義」「概念化」「試作・プロトタイピング」「テスト」の5つのプロセスが あります。

以下で各プロセスについてみていきましょう。

1. 共感

ユーザーのニーズや課題(ペインポイント)を深く理解するために、ユーザーの視点や 感情に共感するプロセスのことを「共感」プロセスと言います。

「共感」プロセスでは、顧客が何を感じているのかや、なぜそれが重要なのか、 そのフィードバックをどのように製品に今後活かせるのかを知ることが重要です。

2. 定義

共感のプロセスで得た知識を基に、解決すべき具体的な問題をこのプロセスで明確に 定義します。

顧客について得た情報をもとに解決したいユーザーの課題を明確にイメージして、 製品開発でのチームでの議論や開発プロセス進めるようにしましょう。

3. 概念化

「概念化」のプロセスでは、さまざまな解決策やアイディアを自由に発想し、多角的に 問題にアプローチします。

このプロセスでは製品に対するアイデアを出しが行われ、出された各アイデアに対して 考察します。

アクティブにブレインストーミングを行い、製品に対する新しいアイデアを出し切るまで、 このプロセスを続けましょう。

▼ 関連ページ ブレインストーミングとは?ブレストのやり方と4つのルール(4原則)について解説

4. 試作・プロトタイピング

このプロセスではアイディアを具体的な形にするための実験的なプロトタイプを作成します。 プロトタイピングを行うことで製品をリリース前に評価することができ、問題などがあれば その問題を解消する計画ができます。

また、プロトタイピングを行うことで、製品の見た目や使用感がイメージしやすくなり、 ユーザー視点で製品に対して評価ができるようになります。

5. テスト

「テスト」プロセスでは、プロトタイプを実際にユーザーに試してもらい、 フィードバックを集めます。

集めたフィードバックを次の製品開発に活かすことで、実際のリリースまでに製品を 改善し、ユーザー体験を向上できます。

問題が指摘された場合は、問題解決フレームワークなども使用して、問題を掘り下げていく ようにすれば、製品をどのように改善すべきなのかの方針を計画しやすくなります。

▼ 関連ページ 問題解決フレームワークとは?メリットとおすすめのフレームワーク5選

デザイン思考の事例

ここではデザイン思考を使用した実際の事例を3つご紹介したいと思います。

実際の事例について知ることで、デザイン思考の使い方がよりイメージしやすくなるので、 参考にしてみてくだい

BCG Digital Ventures 社:フォーチュン500(Fortune 500)企業の成功を支援

BCG Digital Ventures 社ではデザイン思考プロセスをフォーチュン500企業の成功を 支援するために日々活用しています。

新市場参入の機会を特定し、顧客調査を通して提供する製品がその市場の顧客層のニーズに どのようにマッチするのかを分析するために、BCG Digital Ventures 社ではデザイン思考が 採用されています。

顧客の考えやニーズに優先順位をつけることで、そのニーズを満たすための戦略を策定する ことができます。

顧客調査は一連のデザイン思考ワークショップを通して企画され、このワークショップでは 5つのデザイン思考プロセスをもとに企画に対するアイデアが出されます。

また、データを理解するためのフレームワークを構築することで、データ間の関連性を マッピングし、今後の試乗機会を特定しやすくなります。

Project Bloks 社:子供でも楽しめるプログラミング教室

Project Bloks は、IT 大手である Google が主導するプログラミング教室であり、 この教室の計画にデザイン思考が採用されました。

このプロジェクトにはカラフルなブロックでコーディングをゲーム化し、子どもたちに プログラミングの魅力をアピールする目的があります。

しかし、このプロジェクトの真に画期的な特徴は、デザイン思考から生まれたユーザー視点の アプローチです。

Google 社は、子供たちが遊べるコーディングゲームやオンラインコースをただ作る のではなく、何が若者の興味を惹きつけるのかを分析しました。

そして、デザイン思考プロセスの最初の2つの段階に注力し、実際のユーザーに共感し、 核となる問題は何かを定義しました。

この広範な顧客調査は、子供たちにプログラミングを教えるという Google の革新的な アプローチに反映されており、Project Bloks では実際のブロックやボードを使って、 感覚的に子供たちにプログラミングの機会を提供しています。

Google 社はユーザーニーズの理解だけではなく、デザイン会社IDEOと連携し、 何が子供達の学習において効果的なのかを吟味しました。

IDEO 社が得意とするデザイン思考をユーザー(子供)の念頭におき、この教室の コンセプトに至ったのです。

Upwork 社:無限の創造力

創造力は特定の環境や Google 社が所有するような近未来的なラウンジを通してのみ、 得られるものだと思われがちです。

しかし、Upwork 社は、特定の環境なしでも創造力を向上できることを証明してみせました。

Upwork 社(旧Elance、旧oDesk社)は、2003年以来、フリーランサーとクライアントを 世界規模でつなぐ仲介プラットフォームとしてサービスを展開してきました。

このプラットフォームでは、国境の壁に関係なく、フリーランサーと他国の クライアント企業を仲介してくれます。

しかし、このプラットフォームの成功を支えた本当に支えたチームは実行志向のエンジニアを 中心としたチームであり、デザイン思考のプロセスを活用して創造力を向上しました。

Upwork 社のエンジニアリング副責任者である Sean Kane 氏は、主要なチームメンバーと 共に、デザイン思考プロセスを組織全体に導入するためのプランを考えました。

それは、世界中の異なる国に駐在する5~6人のメンバーでチームを作り、「Discovery (発見)」「Definition(定義)」「Design(デザイン)」「Delivery(実行)」の 4つのDの頭文字を持つプロセスに焦点を当てたリモートでの遠隔デザイン作業を改善する ことから取り組みました。

このプロセスでは弊社の Miro のオンラインホワイトボードも採用され、ユーザー ジャーニーやデザインプロセスの優先順位の計画にブルズアイ図が使用されました。

そこから、チームは潜在的なソリューションのアイデアをブレインストーミングし、 ストーリーボードワイヤーフレームのプロトタイプを使って視覚的要素の開発を しました。

このプロセスではエンドユーザーに焦点を当て、4つの明確な段階として提示される 問題解決の新しい手法の発見に貢献し、適切なコラボレーションツールとフレームワークが あれば、リモートワークでも効果的なコミュニケーションと創造力の向上が実現可能で あることを証明しました。

また、Upwork 社は、この経験から得た重要な収穫物の1つにデザイン思考セッションに おけるエンゲージメントの必要性について語っています。

オフィスでのブレインストーミングセッションでは、自分の意見や感想を述べることを 控える人もいますが、画面を通した会議では特にそれが顕著に現れます。

そのため、アイスブレイクのようなアクティビティや明確なフォーカスを共有することで、 誰でも積極的にミーティングやブレインストーミングに参加できるようになります。

デザイン思考に使えるフレームワーク5選

実際のデザイン思考の使用例やプロセスについて学んでいただいた後は、デザイン思考に 使えるフレームワークをご紹介したいと思います。

デザイン思考の各プロセスにこれらのフレームワークを活用し、より顧客のニーズを 掘り下げ、製品開発にインサイトを活かしましょう。

共感マップ

共感マップは、ユーザーや顧客の感情や思考を深く理解し、そのニーズや期待を明確に するためのツールです。

デザイン思考の手法の一つとして使用され、特に「共感」のフェーズでの洞察を 深めるのに役立ちます。

マップは通常、「考えていること」「感じていること」「聞いていること」 「見ていること」の4つのセクションに分かれています。

これらのセクションに情報を記入することで、ユーザーの内面的な感情や外部からの 刺激に対する反応を体系的に捉えることが可能です。

共感マップを利用することで、プロジェクトチームはユーザーの真のニーズや課題を 明らかにし、よりユーザー中心のソリューションをデザインする土台を築くことができます。

カスタマージャーニーマップ

カスタマージャーニーマップは顧客の製品体験やタッチポイントを見える化することに 役立つデザイン思考フレームワークの1つです。

タッチポイントを見える化することにより顧客がどのように製品やブランドを 体験しているかを段階的に分析することができるようになります。

カスタマージャーニーマップを使用することで、顧客が自社の製品やブランドを 体験する際のプロセスを視覚的に表現することができ、顧客が製品と出会い購入する までの正確なプロセスを明確することができます。

▼ 関連ページ カスタマージャーニーマップとは?詳しい作り方や注意点を例を使って解説

ジョブマップ

ジョブマップは、消費者がある特定の「ジョブ」を遂行する際のプロセスをステップごと に可視化するツールです。

ここで言う「ジョブ」とは、消費者が達成したい特定の目的やタスクのことを指します。

ジョブマップは、そのタスクの遂行に関連する活動や判断ポイント、感情などを 明確にすることで、製品やサービスの改善ポイントを見つけ出すのに役立ちます。

具体的には、ジョブの開始から終了までの各ステップを詳細にリストアップし、 それぞれのステップでのユーザーのニーズや課題を特定します。

このアプローチにより、ビジネスが提供する価値を最適化するためのインサイトを 得ることができ、革新的なソリューションの提供をすることができます。

ペルソナ

ペルソナは、マーケティングやデザイン思考の分野で用いられるターゲット ユーザーや顧客のプロファイルを具体的に描写したものです。

ペルソナは実在する人間について説明するものではなく、ターゲットとなる顧客層の 共通の特徴やニーズ、行動パターンを反映した架空のキャラクターとして作成されます。

名前や年齢、性別、職業、趣味、ライフスタイルなどの情報やその人が抱える課題や ニーズ、価値観などが具体的に記述されることが多いです。

ペルソナを作成する目的は、製品やサービスの開発、マーケティング戦略の策定などに おいて、実際のユーザーの視点でサービスやプロダクトを開発することにあります。

これにより、よりユーザー中心のソリューションや提案を導き出すことができるように なるのです。

▼ 関連ページ ペルソナとは?事例を使った設定方法や意味を解説

ビジネスモデルキャンバス

顧客セグメントや顧客との関係、価値提供に焦点を当てるビジネスモデルキャンバスも デザイン思考プロセスの中で活躍するフレームワークの1つです。

この中でビジネスモデルキャンバスは、アイディアや課題を具体的なビジネスの形に 落とし込むツールとして役立ちます。

「共感」や「定義」のフェーズで明らかになったユーザーのニーズを「価値提案」や 「顧客セグメント」としてキャンバス上に具現化することができ、「概念化」の段階で 生まれた新しいサービスや製品のアイディアを1つのキャンバスを用いて全体の ビジネスモデルとして整理・検証することができます。

ビジネスモデルキャンバスを使うことにより、デザイン思考で出したアイデアを 具体的なビジネス戦略へと落とし込むことができ、イノベーションの実現を 加速させることができます。

▼ 関連ページ ビジネスモデルキャンバスとは?事例と書き方をわかりやすく解説

以上の5つのフレームワークを活用して、デザイン思考プロセスでたアイデアや インサイトをどんどん形にしていきましょう。

まとめ

デザイン思考(デザインシンキング)とは、デザイン手法やアプローチをビジネスや 問題解決のプロセスに応用する考え方のことを指します。

デザイン思考プロセスでは、ユーザーのニーズを中心に考え、「共感」「定義」 「概念化」「試作・プロトタイピング」「テスト」の4つのプロセスを通して、 ユーザー経験を最適化します。

デザイン思考プロセスには、プロセスを加速させるためのフレームワークが多数存在し、 これらのフレームワークとデザイン思考プロセスを組み合わせることで、アイデアを アクションへと落とし込みやすくなります。

多数のニーズが存在する現代の社会では、デザイン思考中心にサービスやプロダクトの 開発が重要です。

この記事にある例やデザイン思考プロセス、フレームワークを使って顧客に高い価値を 生み出す、サービスやプロダクトを提供できるようにしましょう。

Miro のデザイン思考フレームワーク

オンラインワークスペースである Miro では無料のツールやテンプレートを使用して デザイン思考プロセスの計画・管理、デザイン思考フレームワークを簡単に作成する ことができます。

また、すべての情報やリソースを1つのボードで管理できるため、製品開発においての 情報共有の場としても Miro が活躍します。

Miro を自社のワークフローやデザイン思考プロセスに採用して、イノベーションを 実現しましょう。

以下のリンクから専用のツールやテンプレートをご確認いただけます。

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