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スイムレーンガイド | 書き方と活用方法
スイムレーンについての画像

スイムレーンガイド | 書き方と活用方法

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業務フローの可視化に役立つスイムレーン

ある企業が新しいウェブサイトの開発をすると仮定し、以下のシナリオを見てみましょう。

ウェブデザイナーがワイヤーフレームを作成 ↓ 各担当者がワイヤーフレームを承認 ↓ ディベロッパーがバックエンドのプログラミングを始める ↓ コンテンツチームがコンテンツカレンダーの作成を開始

すべてのプロセスが順調に進んでいると思われていましたが、プロジェクトが始まって2ヶ月が過ぎたころ、ウェブデザイナーとコンテンツチームの両方で異なるユーザーインターフェイスの文章を書いていることに気付きました。このようなコミュニケーションのサイロ化は、どの組織でも発生することです。そこで、サイロ化を解消することに役立つのがスイムレーンです。

この記事ではスイムレーンについてやメリット、作成するコツについてご紹介しています。また、Miro ではそんなスイムレーンを作成するときに役立つテンプレートも利用できるので、以下のリンクからご確認ください。それでは、解説をはじめていきましょう。

スイムレーン図テンプレートを使ってみる →

スイムレーン図とは?

「スイムレーン」はビジネスプロセスやワークフローを視覚的に表現することに役立つ図です。視覚的に情報を消化できるという特徴から、具体的な業務やプロジェクトのプロセスを一目で理解することができます。

また、各業務の進行状況やタスク間の相互関係を明確に示すことができるため、業務の効率化や問題点の洗い出しなどに非常に有効ツールだと言えるでしょう。スイムレーンは水泳のレーンを模した形状をしており、その形状がそのまま図の名称として付けられました。

この図を使用することによりプロセスの各ステップの担当者を可視化することができ、フローチャートや業務フロー図のように、これらのステップが各アクションやプロセスとどのような関係にあるのかも表現することができます。また、この図ではプロセスの流れを示すために矢印や線が使用されます。

スイムレーン図とフローチャートの違いは?

スイムレーン図とフローチャートはいずれもビジネスプロセスを視覚的に表現したいときに役立つ図ですが、その目的と使用方法に大きな違いがあります。

フローチャートとは 1 つのプロセスまたはシステムがどのように動作するかを記号を使って示すず図です。しかし、プロセスの流れを視覚化するという点で類似しているスイムレーンですが、各タスクの活動が特定の役割または部門にどのように関連しているかを明確にするという点でフローチャートとは異なる機能を持っています。

また、フローチャートはシンプルな構造を持っており、プロセスの開始から終了までを線や矢印で直線的に書きます。一方でスイムレーンでは各活動が水平または垂直のレーン(スイムレーン)で書かれ、各レーンには特定の役割や部門の情報が記入されます。そのため、スイムレーンを使用することにより、プロセスの流れだけでなく、責任や役割の配分も視覚的に理解することができるようになります。

つまり、スイムレーン図とフローチャートは、両方ともビジネスプロセスの視覚化に役立つツールでありながら、その応用範囲と情報のレベルにおいて大きな違いがあります。

スイムレーンを見やすく作るコツ

プロジェクトメンバーが多い場合、スイムレーンはより複雑な構造を持つようになります。スイムレーンを見やすく作成するテクニックに 1 つとしてプール構造がスイムレーンに最適です。プール構造には複数のレーンが存在し、組織内のプロセス全体を図で表現する場合に、プールにはプロセス、レーンにはタスクを実行する部門や担当者が記入されます。

スイムレーンの構造は「ビジネスプロセスモデリング表記法(BPMN)」や「統一モデリング言語(UML)」にも採用されています。BPMN には複数の部門が横断するようにプロセスがマッピングされています。UML では、異なるプロセスで発生するアクティビティをスイムレーンの構造で示しています。

スイムレーンを使うメリット

ここでは、スイムレーンを使用するいくつかのメリットについてご紹介したいと思います。メリットを知ることで、日々の業務にどのようにしてスイムレーンを使うのかのイメージがしやすくなります。それではそのメリットをさっそく見ていきましょう!

業務の可視化

図をレーンに分割することで、どの役割や部門が特定のタスクに従事するのかを明確に示すことができます。この視覚的に情報を表現することで、役割と責任を明確にし、認識のズレを解消することができます。

情報の透明度の向上

スイムレーンを使ってプロセスの流れを明確かつ簡潔に表現することで、各部門間の相互関係が理解しやすくなります。また、プロセスのどの部分で問題が発生する可能性があるのかも事前に特定できるため、ボトルネックの解消にも役立つ図です。

プロセスの効率化

スイムレーンを分析することで、プロセスフローにおける非効率性やギャップが明らかになります。スイムレーンは遅延や問題が発生する可能性のある場所を特定することに役立つため、改善策を考えることや、ボトルネックの解消に役立ちます。そのため、プロセスの最適化や効率化に貢献するツールです。

情報の文書化

スイムレーンは組織内のプロセスやプロジェクトの情報を文書化することにも役立ちます。新入社員の入社時やトレーニングの目的で使用したり、プロセス関連の会議や文書更新の参照ポイントとして使用したりすることができます。

スイムレーンの例

スイムレーンを使用する主な目的としてプロセスのアクティビティの担当者を理解するということがあります。タイムスケジュール表ガントチャートロードマップカンバンボードなどにスイムレーン構造を使用すること、タスクやプロセスを担当する部門や担当者を可視化することができます。

ここでは、Miro を使ったスイムレーンの例を見ていきましょう。この図では、注文を完了するのにどのようなプロセスが必要なのかが表現されています。各レーンには注文プロセスに関わる部門も記入されています。

  • 営業チーム:まず、営業チームが契約をまとめ、発注書を提出します。

  • 製品チーム:次に、製品チームは注文を満たすために必要なリソースをリストアップします。

  • ストア: 次に、店舗または倉庫は、必要なリソースが供給可能かを判断します。供給きない場合、プロキュアメントチームに報告され、注文をキャンセルしなければならないこともありますが、リソースが供給可能であれば、製品チームは顧客の注文に沿った製品の製造を開始します。

各部門の役割がマップ化されることでアクティビティの順番や各役割における責任が明確に理解することができるようになります。これにより、各部門間の連携やコミュニケーションがより円滑になり、プロジェクトをスムーズに完了することが可能です。

スイムレーンに含まれる情報

スイムレーンはプロジェクトや作成者によって形はさまざまですが、通常、フローチャート記号やラベルなどの情報が使用されます。

使用するスイムレーンの形式は図に BPMN を使用しなければならない場合など、図の作成に何らかの規則が発生する場合に変わることもあります。以下で、スイムレーンの作成に使用される情報や要素について見ていきましょう。

ラベル

各要素に明確なラベルを付けることで、、何が表現されているのかをわかりやすく示すことができます。

開始点と終了点

プロセスの開始と終了を示す点のことを指します。一般的な図では丸い角を持つ長方形が使用されます。

決定点

回答が必要な質問や意思決定が必要なプロセスを指します。通常、決定点はひし形を使って表現されます。

アクションまたはタスク

アクションやアクティビティ、タスクが長方形を用いて表現されています。

入力と出力

平行四辺形を使って、情報やデータの入力や出力プロセスを表します。

コネクター

小さな円で表されるコネクターは、別の図、つまり別のプロセスへの接点を示しています。

ドキュメント

下辺が起伏している長方形は、プロセスで必要とされるドキュメントを示しています。

直線の矢印

I文書や物品の物理的な引き渡しを意味しています。

ギザギザの矢印

成果物の電子的なハンドオフを示します。

バウンダリーリンク上のオブジェクト

各メンバーや部門が共有するアクティビティやタスクは、スイムレーンの境界線上に配置されます。

スイムレーンの作り方( 5 ステップ)

スイムレーンの作成を始める前に、次のステップを考慮しましょう。図を作成する目的や問題を定義したり、プロジェクトに関与するメンバーを洗い出すことで、より効果的なスイムレーンを作成することができます。

ステップ 1:スイムレーンを作成する目的を定義する

まず始めに、どうしてスイムレーンを作成したいのかの目的を明確にしましょう。目的が明確になると、どのプロセスを図で表現したいのかやどのようなレベルの詳細が必要なのかがイメージしやすくなります。例えば、ある特定のプロセスの効率化を目指すのであれば、そのプロセスの各ステップとステップ間の相互関係を詳細に描く必要があります。

ステップ 2:ステークホルダーを特定する

次に、プロセスに関与するすべての部門、グループ、または個人などのステークホルダーを特定しましょう。スイムレーンの主な特徴は、特定のタスクや活動がどの役割または部門に振り分けられているのかが一目でわかるということであり、これがスイムレーンを作成する点で重要なステップとなります。ステークホルダーマップなどを使用して、プロジェクトに関連する部署やメンバーなどを俯瞰してから、スイムレーンを作成しましょう。

ステップ 3:プロセスのステップをリストアップする

ここでは、プロセスの開始から終了までのすべてのステップをリストアップします。各ステップには、そのステップを完了するために必要なアクションが記入され、それぞれが特定の役割または部門に割り当てられます。また、各ステップを時系列に並べることで、どのステップが他のステップの前後に来るべきかを明確にすることができます。

ステップ 4:ステップごとの担当者を記入する

リストアップしたステップに担当者を配置していきます。これにより、どのステップがどの役割または部門の責任であるかを視覚的に表現できます。レーンごとにステップを順番に配置し、関連性や連携があるステップは線や矢印で連結しましょう。

ステップ 5:図を見直し、改善する

最後に、作成したスイムレーン図を見直し、必要な修正を行います。他のプロジェクトメンバーや部門からのフィードバックをも集めることで、理解しやすい図になっているかや、すべての部門のニーズが反映されているか、プロセスが合理的なものであるのかなどが確認できます。

まとめ

スイムレーンはビジネスプロセスを視覚化するための強力なツールであり、特に複数の部門でのプロジェクトにおいてその責任範囲とプロセスの流れを明確にすることに役立ちます。各「レーン」は、部門、グループ、あるいは個人を表現し、それぞれのレーンには、その役割が担当するプロセスのステップが表示されます。

スイムレーンはプロセス内での作業の流れや移行、各ステップが関連する役割や部門、さらには意思決定のポイントなど、プロセスの各部分を詳細に表現したいときに便利な図です。これにより、各部門やメンバーがプロセス全体のどの部分を担当しているか、どのステップが他のステップとどのように関連しているか、どのステップがプロセスの進行に影響を与えているかなど、プロセスの全体像を簡単に俯瞰できるようになります。

さらに、スイムレーン図は、プロセス改善のための優れたツールでもあります。図を見ることで、非効率なステップやボトルネックなど、潜在的な問題点を見つけ出し、それらを改善するための解決策を策定することが可能になります。

スイムレーンの作成は特定の目的を設定し、ステークホルダーを特定し、プロセスのステップをリストアップし、各ステップを担当者に割り当て、図を見直して改善するというステップによって行われます。したがって、スイムレーンは、ビジネスプロセスを理解、視覚化、改善するための強力なツールであると言えるでしょう。

Miro について

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