フローチャートとは? 書き方や記号について 簡単解説
フローチャートとはプロセス内の各ステップを記号で説明し、プロセス間の流れを矢印で 示した図であり、アルゴリズムやプロセス、システム内の動作を表現する際に よく使用される図です。「フロー図」や「流れ図」とも呼ばれています。
フローチャートを使用することで情報を全体的に俯瞰することができ、業務改善や プロセス内の問題を洗い出すことができます。複雑な情報でもわかりやすく表現するための 便利なツールだと言えるでしょう。
この記事ではフローチャートにいついてや、記号の意味、業務やシステムの改善などに 役立つフローチャートの種類についてわかりやすく解説しています。
フローチャート作成においてのコツもこの記事ですべてご紹介しているので、 実際にフローチャートを作成する時の参考にしてみてください。
フローチャートとは?
フローチャートとは、プロセスやワークフローを視覚的に表現するための図の一つであり 「フロー図」や「流れ図」とも呼ばれています。
フローチャートは機械工学や、教育、コンピュータプログラミング、プロジェクト管理など 広い分野で活用されている図です。
シンプルなプロセスから複雑なプロセスまで多種多様なシチュエーションで活躍する フローチャートは、プロセスの明確化や理解に役立ちます。
通常、この図の作成にはさまざまな記号や矢印が使用され、各記号がそれぞれのフローや プロセス内の異なるステップを表現しています。
「処理記号」や「判断記号」、「書類記号」、「データ/入出力記号」などの記号を 使用することで、ビジネスに必要とされる効果的な意思決定プロセスだけでなく、 製品開発などのプロセスの効率化もフロー図を作成することにより実現可能です。
フローチャートの歴史
フローチャートは、1920年にフランク・ギルブレスとリリアン・ギルブレスによって 開発されました。
開発当時は「フロープロセスチャート」と呼ばれており、生産ラインや作業工程などの 計画に活用されていました。
フローチャートが業務効率化の主流フレームワークとなったのは、1930年頃で、 経営工学者アラン・H・モーエセンがフローチャートをビジネスに採用したことが発端です。
その後もプログラミングやシステム開発で広く活用されている図です。
日本でも、特性要因図(石川図・フィッシュボーン図)を提唱した石川馨が 管理保管ツールとしてフローチャートを推奨しました。
フローチャートを作成するメリット
フローチャートを通したプロセスの視覚化は、ビジネスの場だけに限らず日々の生活にも さまざまなメリットを与えてくれます。
ここでは、フローチャートがどのようにして個人やチームに役立つかご紹介します。
情報の透明化
フローチャートを作成する一番大きなメリットは、複雑な作業プロセスをシンプルな フォーマットで可視化し、一目で理解できるようにすることでしょう。
多くの企業が製品管理や、ロジスティックス、マネジメントの場などで、重要なプロセスの 分析や改善にフローチャートを採用しています。
また、プロジェクト関係者やステークホルダーに自社のワークフローを簡単に 理解してもらう際にもこの図が活躍します。
コミュニケーション改善
フローチャートは、コミュニケーションの改善にも役立ち、会議の場でワークフローや プロセスに対するチームメンバーの認識のズレを防ぐことに力を発揮します。
フローチャートの記号を上手く使用し、複雑な情報をビジュアルを通して簡単に説明する ことで、口頭では説明が難しい情報でも明確に伝えることができる効果的なコミュニ ケーションツールとしてこの図が活躍します。
プロセスの文書化
フロー図はビジネスプロセスを文書化することに役立ち、タスクの進捗状況などを 追跡するための効果的な方法でもあります。
また、オンラインでフローチャートを作成することにより、ペーパレスで書類を ワークフロー内に作成することができ、紙にかかるコストの削減も達成することができます。
フローチャートが活躍するケース
フローチャートは、さまざまなシチュエーションや分野で使用されており、 プロセスや業務フローを理解し、改善することに役立ちます。
ここでは、フローチャートを効果的に活用するための事例をご紹介します。
1. プロセスの設計と計画
新しいプロセスを設計する際には、そのプロセス内で発生するステップとその詳細を 文書化する必要があります。
フローチャートを使用することで、このプロセスを文書化することができ、 プロセスの全体像を効率的に把握できるようになります。
2. プロセスの分析と理解
多くの企業がプロセスの計画や分析にさまざまな種類のフローチャートを採用しています。
フローチャートを使用して情報を分析することで、製品開発プロセスや目標の実現に 必要となるアクションやタスクの明確化だけではなく、作業フローの効率化も 実現することができるようになります。
3. プロセスの認識共有
リモートワークがトレンドとなり、オンラインでの会議の機会が多くなったと思います。
しかし、詳細なフローチャートをチームまたはクライアントと共有することにより、 長くて時間のかかる会議の代わりに、情報を簡単に共有できるようになります。
フローチャートはプロセスを視覚的に記録、共有することができる非常に便利な コミュニケーションツールです。節約した時間を他の重要なプロジェクトに利用しましょう。
フローチャート記号
フローチャートの作成には、各プロセスを示すための異なる記号が使用されます。
以下で、フローチャートに使用される基本的な記号とその意味を見ていきましょう。
また、このセクションの最後で各記号の形もご確認いただけます。
行動記号
「行動記号」は「処理記号」とも呼ばれ、ステップや、機能、動作、操作などの アクションを示す記号です。
判断記号
「判断記号」は「YES /NO」などのふた通りの判断条件をフロー内に含める際に使用されます。
開始/終了記号
「開始/終了記号」は「端子記号」とも呼ばれています。その名の通り、この記号は フロー図の「開始」と「終了」を表します。
定義済み処理記号
「定義済み処理記号」は、該当するプロセスが他の業務やプロセスフローで すでに定義されていることを指す記号です。
この記号により、すでに認知されているプロセスであることを表すことができるため、 作成しているフローチャート内の情報をより簡略にすることができます。
書類記号
「書類記号」は、プロセス内で発生する書類の入出力を表した記号です。 例えば、メールの受信を「入力」メールの送信を「出力」として図の中で表現することが できます。
複数書類記号
「複数書類記号」は、メールや発注書などのプロセス内で発生する書類化作業やプロセスを 進行する上で必要となる書類の入出力を表す記号です。
手操作入力記号
「手操作入力記号」は、手動での情報入力が必要なアクションを表す記号です。
準備記号
各フローの実行に必要な準備プロセスとアクション実行に必要となるプロセスを 区別する際に「準備記号」が使用されます。
データ/出入力記号
「データ/出入力記号」は、フロー内で発生するデータやリソースの出入力を表す記号です。
例えば、顧客が製品を注文する際のアクションを「入力」とし、その注文「入力」に 対する製品の発注を「出力」などと記入することができます。
データベース/システム記号
オンラインのストレージ上に保存されたデータや情報を指す記号であり、特定の検索条件を 入力した際に、結果の検索やフィルタリングができることを意味します。
ハードディスク記号
「ハードディスク記号」は、ハードドライブ内でデータが保存されている場所を指す記号です。
内部記憶記号
「内部記憶記号」は、プログラム内のメモリにデータに情報が保存されていることを 指します。ソフトウェア開発などによく使用される記号です。
手作業記号
その名の通り自動ではなく手動で実行する必要のあるプロセスを表す記号です。
遅延記号
プロセス内で発生してい遅延状態の箇所を表す記号です。ソフトウェア開発において一定の プログラムが遅延状態を発生させている際に「遅延記号」を該当するプロセスに記入します。
記憶データ記号
「記憶データ記号」は「ストレージデータ記号」とも呼ばれ、プロセス内でデータが 保存されている場所を示す際に使用される記号です。
結合記号
2つ以上のサブプロセスを結合させる際に「結合記号」が使用されます。
結合子記号
「結合子記号」は、より複雑なプロセスを含むフローチャートの作成に使用される 記号であり、1つのページ内で複数の要素を結合/接続させる際に使用される記号です。
論理和記号
1つのプロセスが複数のフローに継続していることを表す際に「論理和記号」が使用されます。
和接合記号
複数存在するプロセスを1つのプロセスに収束する際に収束地点として「和接合記号」が 使用されます。
表示記号
「表示記号」は、プロセス内でデータや情報が表示されるポイントを示す際に 使用される記号です。
オフページ結合子記号
オフページ結合子記号」は、別名「ページ外記号」とも呼ばれ、複数のページに存在する 個別のプロセスを接続する際に使用される記号です。
通常、実際の書類などではページ番号や記号番号を通してプロセスの接続が 実行されますが、Miro の場合は、オブジェクト同士をリンクさせることで プロセスの接続を実行することが可能です。
コメント・メモ記号
「コメント・メモ記号」は、必要な箇所にコメントやメモを追加する際に使用される記号です。
▼ 関連ページ フローチャートの基本的な記号・構造一覧!初心者必見の作り方も解説
フローチャートの種類
図解したいプロセスに適したフロー図を選択することは、フローチャート作成において 非常に重要なことです。
また、用途や達成したい結果に応じで、さまざまな図を選択することができます。
以下で最も広く使用されているフロー図の種類を見ていきましょう。
プロセスマップ
プロセスマップは、最も基本的なフローチャートの1つであり、新規のプロジェクトや 業務フローをマッピングする際によく使用されるフロー図です。
エンジニアやソフトウェア開発者が、進捗状況を把握し、プロジェクトを完了させるために 必要なフローをわかりやすく理解するために、プロセスマップをよく使用します。
▼ 関連ページ プロセスマップとは?作成に必要なステップと事例を紹介
スイムレーン図
スイムレーン図は、プロセスの開始から完了までの流れをマッピングするための ツールです。
タスクや目標を横並びでスイムレーン状の図に情報を記入することから 「スイムレーン図」と名付けられました。
スイムレーン図を使用することにより担当者が異なる部門の所属であっても時系列で フローを確認することができるため、スムーズにプロジェクトを進行させることが できます。
▼ 関連ページ スイムレーンガイド | 書き方と活用方法を解説
データフロー図
データフロー図(DFD)は、その名が示す通り、システム内のデータの流れを表した フローチャートであり、システム設計はもちろん、業務フローの分析や改善にも 役立つフロー図となっています。
テクニカルな内容に関係なく、関係者間のコミュニケーションギャップを埋めるツール としても非常に便利です。
また、他のタイプのフローチャートと比較して、データフロー図で使用される記号は 「データフロー」「プロセス」「データストア」「外部実体」と種類が限られています。
▼ 関連ページ データフロー図(DFD)とは?書き方や記号について簡単解説
業務フロー図(ワークフロー図)
業務フロー図(ワークフロー図)とは、タスクや業務の中身、工程などをわかりやすく 表現するためのビジュアルツールであり、業務内容の改善や効率化に非常に役立つ フローチャートです。
業務フロー図を使用することで、各タスクの担当者やフローの確認、進捗状況の 追跡などを直感的に実行できるため、異なる部署間での認識共有やスムーズな 業務進行が実現可能になります。
▼ 関連ページ 業務改善や自動化に役立つ業務フロー図とは?書き方や例を紹介
フローチャートの書き方
上記では、フローチャートがビジュアルツールとしてどのように活躍するのかを ご紹介してきました。
このセクションでは、実際の作成方法について解説したいと思います。
このセクションでフローチャートの書き方やクリエイティブな図の作成方法について 学びましょう。
1. フローチャートを作成する目的を明確にする
図の作成を始める前に、そもそもなぜフローチャートを作成するのかを理解しておく 必要があります。
図を通して表現したいプロセスや達成目標、目標達成につながるタスク内容を書き出し、 フローチャートを作成する目的を明確にしましょう。
このステップで気をつけなければならないことは「1つのフローチャートに情報を 詰め込み過ぎない」ということです。
見やすいフローチャートを作成するためには、記載する情報をできるだけ絞り込み、 シンプル化するということが重要です。
もし、1つの図に情報を詰め込み過ぎていると感じたら、プロセスや情報のクラスター ごとに複数のフローチャートを作成することをおすすめします。
2. タスクやタスクの期日を洗い出す
フローチャートに記号を追加する前に、タスクを完了するために必要な期日や記号に 記入するタスクの内容や情報を書き出し、時系列に整理しましょう。
実際のフローチャートの作成を開始する前に、どのようなタスクがプロセスの完了に 必要となるか、どのくらいの期間でプロセスを実行することが一番適しているのか、 関係各所とキャッチアップすると良いでしょう。
3. フローチャート記号を追加する
上記でご説明した記号を活用して、図で表現したいプロセスの構築を開始しましょう。
フローチャート記号を効果的に使用することにより、業務フローやタスクの改善、 目標の達成までのプロセスを見える化することができます。
4. 記号を線や矢印でつなげる
記号を追加した後は、プロセスやアクションの進行方向に応じて記号を線や矢印で つなげましょう。
進行方向を示す矢印を図に追加することで、誰でも一目でプロセス内のフローを 把握することができるようになります。
5. フローチャートを共有する
プロジェクト関係者と作成しているフローチャートを共有しましょう。
フローチャートを共有することでプロセスに関わるすべてのメンバーがプロセスの 方向性や各担当者を俯瞰することができます。
自身のタスクが他のメンバーのタスクとどのような関係にあるのかを確認することにより、 プロセスの各ステップをプロジェクト全体でスムーズに完了していくことが できるようになります。
そのため、フローチャートは効果的なプロジェクト管理ツールだとも言えるでしょう。
6. フローチャートの情報を常に最新のものに更新する
システムやプロセスは常に変化するものです。そのため、変化に応じてフローチャートを 更新することは、フローチャート作成において最も重要なプロセスの1つとも言えるでしょう。
定期的に図を見直し、必要な変更を加えることで、フローチャートを常に最新の状態に 保つことができます。
フローチャートをうまく作るコツ
このページを通してフローチャートについてや、その書き方、他のフローチャート タイプについて深く知っていただけたと思います。
ここでは、フローチャートを効果的に作成するためのコツをご共有したいと思います。
1. フローチャート作成は1ページだけに収める
フローチャート作成において重要なことは、見やすいだけではなく、 一目で情報が理解できるフローチャートを作成するということです。
プロセスの全体像を複数のページに広げるのではなく、1ページで完結することで、 シンプルかつ合理的に情報を可視化することができます。
2. 決まった記号やカラーコードを使用する
フローチャートで使用する記号やカラーコードに一貫性を持たせることで、 プロセス全体を整理することができ、より理解しやすい図を作成することができます。
フローチャートで使用される記号について学び、プロセス内の情報を表現できるように しましょう。
異なる種類の記号を多用し過ぎた場合、プロセスの理解自体が非常に難しくなります。
一貫性のあるビジュアルを使用し、より整理された情報の共有を目指しましょう。
3. フローチャートを作成する目的を明確にする
上記でもご説明したように、「目的の明確化」はフローチャートを作成する上で 不可欠なステップです。
表現したいプロセスを定義し、そのプロセスにフォーカスを当てた図を作成するように しましょう。
4. フローは左から右へ
フローチャート内のフローは、同じ方向に流れるようにしましょう。そうすることで、 誰でも直感的に構造や情報が理解できるようになります。
5. フローチャートの共有
特にビジネスプロジェクトに関するフローチャートの場合、複数のメンバーに フローチャートを共有する必要が出てきます。
フローチャートをプロジェクトメンバーと共有することにより各担当者が業務の流れや 各作業の位置付けを把握することができ、プロジェクトをスムーズに進行することが できるようになります。
6. 最新の情報を常にフローチャートに反映
フローチャートに最新の情報を反映していない場合、混乱や認識のズレを引き起こし、 プロジェクトやチームに深刻な影響を引き起こす可能性があります。
そのため、システムやプロセスの更新と同時にフローチャート内の情報も最新のものに 更新しましょう。
また、チームやプロジェクトメンバーとその時点でのフローチャートを再評価し、更新内容を 議論するための会議を開催することも図を最新状態に保つための手段の1つです。
まとめ
フローチャートは製品開発や業務においてのプロセスを記号を通して見える化し、 把握することに役立つツールです。また、「フロー図」や「流れ図」とも 呼ばれることもあります。
フローチャートを作成することにより、チームの誰もがプロジェクトの方向性と そのプロセスを一目で理解することができるため、情報共有にも非常に便利な図です。
このページでご紹介したフローチャートの書き方やコツを押さえて目標達成への ロードマップを完成させましょう。
オンラインワークスペースである「Miro」ではフローチャートの作成や共有、 編集をいつでも簡単に実行することができ、業務の効率化や生産性の向上に貢献します。
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