リスキリングとは？DXに必要な理由や成功させるためのステップを解説

リスキリングが特に注目され始めたのは、2020年のダボス会議。この会議で、第四次産業 革命による技術革新がもたらす労働市場の変化が議題に上がり、リスキリングの必要性が 強調されました。

また、デジタルトランスフォーメーション（DX）の進展に伴い、従来のスキルセットでは 対応できない新たな職務が増加し、世界的に新しいスキルの習得が求められています。

しかし、日本ではジョブ型ではなくメンバーシップ型の雇用体系が主流であり、このために 特定のスキルにフォーカスしたリスキリングの取り組みが難しいという課題があります。

そのような中で、企業は従業員の成長を支援しながら、柔軟かつ戦略的なリスキリングを 進めることが求められています。

今回は、日本企業がリスキリングを効果的に進めていくためのポイントを考えます。

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リスキリングとは？

リスキリングとは、技術革新やビジネス環境の変化に適応するために、必要とされる新しい 知識やスキルを再度学び直すことを指します。

経済産業省によれば、この取り組みは新たな職業に就くため、または現在の職業で求められる スキルの大幅な変化に対応するために行われるものです。

リスキリングは「リスキル」や「アップスキリング」とも呼ばれ、DX（デジタル・トランス フォーメーション）や第4次産業革命に対応するスキルを習得することが含まれます。

現在は特にデジタルスキルの習得が重視されています。具体的には、プログラミングやビッグ データの分析、デジタルマーケティングなどが含まれますが、これに限らずマネジメントや コミュニケーション能力、グローバルスキルなど、さまざまな分野でのスキル向上が求められています。

また、リスキリングは単なるスキルの習得だけでなく、学ぶ本人の積極的な意欲も重要です。

企業側が提供する学びの機会を最大限に活用し、自己啓発の一環として取り組むことが 求められます。

このため、リスキリングは従業員の自己成長と企業の持続的成長を同時に促進するものであり、 現在のビジネス環境において欠かせない要素となっています。

リスキリングとリカレント教育・アンラーニングの違いとは？

リスキリングの話題と合わせて、リカレント教育、アンラーニングという言葉もよく 登場しますが、目的や手法に違いがあります。

リスキリングは主に企業が従業員に新しいスキルを習得させることで、デジタルトランス フォーメーション（DX）に対応することが目的です。

これに対し、リカレント教育は個人の自己啓発を目的とし、一度職場を離れて大学などの 教育機関で学び直すことが多いです。リスキリングは通常、職場での研修や実務を通じて 行われるため、業務と並行して進められる点が特徴です。

アンラーニングは、既存の知識やスキルを一度捨て、新たなものを学び直すプロセスです。

これは特に、従来のやり方では通用しない状況に対応するために重要とされます。

アンラーニングの主眼は「捨てること」にあり、リスキリングとは異なるアプローチを取ります。

これらの違いを理解し、改めてリスキリングの目的と手法をおさえておくことが重要です。

リスキリングでどのようなことを学ぶ？

リスキリングで学ぶ項目は、企業の抱える課題や戦略によって異なりますが、デジタル技術が 急速に進化する現代において、特に重要視される分野がいくつかあります。

以下にリスキリングで学ぶテーマとして人気の内容をあげてみましょう。

・データ分析とデータサイエンス ・プログラミングとソフトウェア開発 ・サイバーセキュリティ ・クラウドコンピューティング ・AI（人工知能）と機械学習 ・デジタルマーケティング ・プロジェクト管理 ・デザイン思考 ・顧客体験（CX）向上の技術 ・ビジネスモデルの創出とイノベーション ・語学 ・動画編集

これらのスキルは、業務の効率化や新たなビジネス機会をつくることが期待でき、企業の成長と 発展に貢献します。

リスキリングを進めるための5つのステップ

リスキリングを成功させるためには、企業が必要とするスキルと、個人の学習意欲を結びつけ、 同じゴールを目指すことが重要です。そのための5つのステップを整理しました。

ステップ1：目的と対象を明確にする

ステップ2：現状のスキルを把握する

ステップ3：教育プログラムと教材を決定する

ステップ4：学習環境の整備

ステップ5：実践でのスキル活用

各ステップの詳細を見ていきましょう。

ステップ1：目的と対象を明確にする

リスキリングを導入する際、まずその目的と対象を明確にすることが重要です。

企業の戦略に基づき、どのような人材が必要で、そのためにどのスキルを強化すべきかを 特定します。

また、従業員に対してリスキリングの背景や目標をしっかりと説明し、共感を得ることで、 取り組みの効果を高めることができます。

ステップ2：現状のスキルを把握する

従業員の現在のスキルセットを評価し、今後必要とされるスキルとのギャップを明確にします。

スキルマップや評価ツールを使用して、各従業員の強みや弱点を視覚化し、個別の学習ニーズを 把握します。

これにより、各従業員に対して適切な学習プランを策定することができます。

ステップ3：教育プログラムと教材を決定する

現状のスキル評価をもとに、各従業員が必要とするスキルを習得するための教育プログラムを 選びます。

プログラムには、研修会、オンライン講座、eラーニングなどの形式があり、従業員の特性や 業務負荷に合わせたものを選択します。

社内で全ての教材を作ろうとはせず、外部の学習コンテンツを上手に活用することで、 コストと時間を節約しながら質の高い教育を提供できます。

ステップ4：学習環境の整備

リスキリングの成功には、効果的な学習環境の提供が不可欠です。従業員が業務時間中に 学習に取り組めるよう、適切な時間を確保し、過度な負担を避けるスケジュール調整が必要です。

また、学習に必要なリソースやツールを整備し、従業員が自分のペースで学べる環境を 構築します。

ステップ5：実践でのスキル活用

リスキリングで習得したスキルや知識は、実際の業務で活用することが重要です。

新しいスキルが効果的に使えるように、試験的なプロジェクトや現場での実践機会を柔軟に 提供しましょう。

また、フィードバックを通じてスキルの定着を図り、継続的な学びと改善を促進します。

このステップが成功すれば、企業全体の成長と競争力向上につながります。

リスキリングを行う3つのメリット

リスキリングを行うことは必要に迫られているという側面もありますが、その分期待できる 効果も大きいと言えます。リスキリングを行うことで期待される3つのメリットをまとめました。

1. 市場価値の向上

リスキリングにより新しいスキルや知識を習得することで、個々の市場価値が向上します。

特に、デジタルスキルや先進的な技術に関する知識は、今日の労働市場で高く評価されます。

例えば、AIやデータ分析などの分野でのスキルは、企業が求める人材像と一致しやすく、 転職やキャリアアップの際に有利になります。

また、AIでは難しい創造性や対人スキルを高めることも、市場価値の向上に寄与します。

企業目線で見るとこの点は転職リスクが高まりデメリットにもなり得ます。

しかし、企業としてリスキリングを行った社員への正当な評価を行い昇給をしたり、新しい ポジションを与えることで、企業と社員のエンゲージメントを高める機会にすることも可能です。

また、このような社員が増えることにより、あらたに自社を志望してくれる優秀な人材も 増えることを想定すると、リスキリングは未来への有効な投資だと言えます。

2. 生産性の向上

リスキリングは、業務の効率化と質の向上にも寄与します。

新たに習得したスキルや知識を活用することで、従来の手作業や非効率なプロセスを自動化 したり、改善したりすることが可能になります。

これにより、従業員個々の生産性だけでなく、チームや組織全体のパフォーマンスも向上します。

最新のツールや技術を活用することで、業務の遂行スピードが上がり、結果として企業全体の 効率も改善されます。

3. 新たなビジネス機会の創出

リスキリングを通じて多様なスキルセットを持つ人材が増えると、新しいアイデアや視点が 組織内に取り入れられやすくなります。

これにより、イノベーションが促進され、結果として新たなビジネス機会が生まれます。

特に異なる分野の知識や技術を組み合わせることで、新しい商品やサービスの開発が可能に なり、企業の競争力を高めることができます。

従業員が多様な視点を持つことで、変化する市場ニーズにも柔軟に対応できるようになります。

国内外のリスキリング導入事例

冒頭に記述したとおり、海外のジョブ型と日本のメンバーシップ型の雇用形態の違いも あるため、企業の規模や方針に合ったリスキリングの取り組みが必要です。

インターネット上でも様々な導入事例を調べることができますが、一部をご紹介します。

1) 海外事例: Amazon

Amazonは着手が早く、2019年に「2025年までに7億ドルを投じて従業員10万人にリスキ リングを提供する」と発表しました。

この取り組みは、技術職以外の従業員を技術職へ移行させることや、デジタルスキルの習得を 目的としています。

特にデータサイエンスやクラウドコンピューティング、サイバーセキュリティなどの分野での スキル向上が図られています。

Amazonはリスキリングを通じて、従業員のキャリアパスを広げると同時に、企業全体の 競争力を強化しようとしています。

2) 日本事例: 三井住友フィナンシャルグループ

三井住友フィナンシャルグループは2021年から、全従業員約5万人を対象にデジタル変革 プログラムを開始しました。

このプログラムでは、デジタルマインドセットの醸成、基本的なデジタルリテラシーの向上、 さらに高度なデジタルスキルの習得を目指しています。

約30本の動画コンテンツが提供され、従業員は自分のペースで学ぶことができます。

三井住友はこの取り組みを通じて、デジタル時代に対応できる人材の育成と、組織全体の デジタル化推進を図っています。

3) 日本事例: 富士通

富士通は、社内DX推進の一環として、全社員を対象にリスキリングを実施しています。

重点的な分野として「データドリブン経営の強化」「DX人材育成」「生産性向上」などが 挙げられ、社員はデザイン思考やデータ分析、DX戦略策定力などを学びます。

さらに、実際のDXプロジェクトに参加する機会を提供し、理論と実践の両方を通じてスキルを 高めています。

これにより、富士通は社内の全員参加型のデジタル文化を醸成し、企業全体の競争力を 強化しています。

リスキリングのひとつとして Miro の活用がおすすめ

リスキリングは主に企業が従業員に新しいスキルを習得させることで、デジタルトランス フォーメーション（DX）に対応することが目的とお伝えしました。

そのようなリスキリングのひとつの手段としてMiroの活用がおすすめです。

リスキリングでよく学ぶテーマに入っている、マーケティングスキルや、マネジメント スキル、デザイン思考やデジタルを活用したプロジェクトマネジメントスキルなどは、 Miro を活用することで広く学ぶことができます。

Miroには多様なテンプレートが用意されており、マーケティングで利用するフレームワークや デザイン思考などを学びながら、実務にもすぐに活かすことができます。

また、Miroはオンラインワークスペースとして、複数のメンバーがリアルタイムで同時に 作業でき、チームでの情報共有を簡単に行うことができます。

社内でリスキリングを推奨していく上で、そもそもの情報管理や学習を進めていくプラット フォームとして Miro を活用することで、学びながら実践するという両軸を効率的に運用して いくことが可能です。

Miroを活用しながら、リスキリングとしてのデジタルツールのリテラシー、マーケティングや プロジェクトマネジメントの知識とスキルについての学習と実践にトライしてみてください。

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