複数人で一緒に働くことで効率化。リモートワークにも最適なモブワークとは?
モブワークという言葉を聞いたことはありますか?
エンジニアの方であれば、オンボーディングでの指導や問題解決が必要な時、勉強会などで ペアプログラミングやモブプログラミングという機会で馴染みがあるかもしれません。
モブワークは、モブプログラミングから派生したものと言えますが、職種を問わず、複数人が 集まり同時に作業を進める働き方のことです。
リモートワークが一般化した昨今、個人ワークが主流になりすぎて、チーム間の交流が 少なくなってしまったり、新人教育に支障がでてしまったりという課題がある中で、 「モブワーク」というやり方が改めて注目されています。
一方で、モブワークはやり方を間違えると、複数人の時間を無駄にしてしまい非効率な働き方 にもなりやすく、実施する際に心理的なハードルもあると思います。
今回は、具体的に効果的なモブワークのやり方を解説していきます。
記事の最後にはモブワークの実現におすすめのオンラインツールやテンプレートについても ご紹介しているので、ぜひご確認ください。
それでは、モブワークについて見ていきましょう。
モブワークとは?
モブワークとは、複数人が集まって一つの作業に取り組む方法を指します。
この方法は、資料作成やプログラミング、事務作業などさまざまな作業に適用できます。
「モブ」という言葉は集団を意味し、その名の通り、集団で協力して一つのタスクを進めて いくのが特徴です。
通常、モブプログラミングという形で知られていますが、プログラミングに限らず、 どんな作業にも応用可能です。
例えば、ペアプログラミングは二人で行う作業ですが、モブワークはこれをさらに拡大し、 通常は4〜5人のチームで行います。
システム開発以外の分野でも、この集団での作業方法は効果的であり、コードを書かない チームでもモブワークを実践する場面が増えています。
モブワークのメリットは、複数の視点や知識を一度に取り入れることができる点にあります。
これにより、問題解決のスピードが上がり、より質の高い成果を出すことが可能となります。
どの業界でも取り入れやすく、効率的な働き方として注目されているのです。
モブワークを行うメリット
モブワークを行うことで多様なメリットがありますが、まとめると以下の3点です。
タスクの効果的な分担
フィードバックを通じた成長
リモート環境への適応
それぞれを詳しく説明します。
1. タスクの効果的な分担
モブワークの大きな利点の一つは、複数人が協力してタスクを分担することができる点です。
各メンバーが自分の得意分野を活かし、共同でプロジェクトを進めることで、全体の作業 効率が向上します。
例えば、資料作成やプログラミングでは、特定の知識やスキルを持つメンバーがその部分を 担当することで、質の高い成果を迅速に得ることができます。
また、メンバー間での役割分担により、タスクの進行がスムーズになり、プロジェクト全体の 効率を大幅に向上させることができます。
2. フィードバックを通じた成長
モブワークでは、チームメンバー同士で継続的にフィードバックを交換することが可能です。
このプロセスを通じて、自分の作業に対する他者の意見を得ることで、新たな視点や改善点に 気づくことができます。
また、自分が他者にフィードバックを提供することにより、無意識的に行っていた業務を 言語化することを通して、改めて自分自身が業務で意識している点も明確に把握することが でき、自分自身のスキルの見直しにも効果的です。
もちろんそれらがチーム全体のスキル向上に貢献することも期待できます。
この相互フィードバックの文化は、個々のメンバーが、個人の力を最大限に発揮し、良い成果を 出すための重要な要素であり、チーム全体の成長を促進します。
3. リモートワーク環境への適応
モブワークはリモートワークの環境下でも非常に効果的です。遠隔地にいるメンバー同士が リアルタイムでコミュニケーションを取りながら作業を進めることで、認識のズレや方向性の 違いを防ぐことができます。
また、モブワークのプロセスにはゲーム性があり、メンバー同士が楽しく協力し合える環境を 作ることができます。
これにより、リモートワークでありがちな孤立感を減らし、チームの一体感を高めることが できます。
常にコミュニケーションを取りながら進めることができるため、リモートワークの課題を 克服し、効果的なコラボレーションを実現することができるのです。
モブワークを行う時の役割分担
モブワークを実行する際、専用の役割分担があります。役割は3つに分けられ、ドライバー、 ナビゲーター、モバーと呼ばれます。各役割の内容について見ていきましょう。
ドライバー(Driver)
ドライバーはキーボードやマウスを操作して実際の作業を行う役割です。彼らはナビゲーターや モバーからの指示や助言に基づいて具体的なアクションを実行します。
ドライバーは直接的なアウトプットを担当するため、正確な作業が求められます。
また、ドライバーの作業は他のメンバーが確認できるように公開されていることが重要です。
例えば、一つの部屋に実際に集まってやる場合は大きなモニターを用意したり、オンラインで 実施する場合は、ドライバーの画面を全体共有しながら進めましょう。
ナビゲーター(Navigator)
ナビゲーターはドライバーに対して進むべき方向を指示する役割を担います。プロジェクトの 全体像を把握し、作業の進行をリードします。
問題や課題が発生した際には、最終的な判断を下す役割も果たします。
ナビゲーターは常に状況を見極め、適切な指示を出すことが求められます。
モバー(Mobber)
モバーはサポート役として、ドライバーやナビゲーターを補助する役割を担います。
必要に応じて情報を調べたり、「こうしたらどうか」という提案を行ったりします。
具体的には、ドライバーが直面する問題の解決を助けたり、ナビゲーターの判断をサポート するための情報提供を行います。
モバーはチーム全体の知識とスキルを活用し、作業の効率を高める重要な役割を果たします。
これらの役割は、モブワークを円滑に進めるための基本的な構成要素です。モブワークは 各メンバーが積極的に関わり、目の前の業務を進めることで、チーム全体の成果を向上させる ことができます。
モブワークの種類
モブワークのやり方には2種類あります。それぞれのやり方と特徴・注意点について 確認しましょう。
パターン1: ナビゲーター専任型
この方法では、最も習熟度の高いメンバーがナビゲーターとしてリードし、他のメンバーが 順番にドライバーを務めます。
ナビゲーターは全体の進行を指示し、ドライバーはその指示に従って具体的な作業を行います。
この方式は、まさに「教科書通り」の進め方であり、ナビゲーターの経験と知識を最大限に 活用することができます。
特徴:
ナビゲーターが全体の戦略を把握し、メンバーに指示を出すため、プロジェクトの一貫性と 方向性が保たれます。
ドライバーはナビゲーターの指示に従うことで、実践的な学習が促進されます。
チーム全体がナビゲーターの知識を共有しやすくなり、メンバーのスキル向上に繋がります。
注意点:
メンバーの習熟度に差がある場合、ナビゲーターの指示を理解しにくく、単に指示を文字通り に入力するだけになるリスクがあります。
ドライバーが受動的になりがちで、主体的な学習や創意工夫の機会が減少する可能性があります。
ナビゲーターに依存しすぎると、他のメンバーの自主性やリーダーシップが育ちにくくなる ことがあります。
パターン2: ドライバー兼ナビゲーター型
この方法では、最も習熟度の高いメンバーがドライバーとして実際の作業を行いつつ、 自分の思考過程をナビゲートします。
このメンバーは、作業の進行を説明しながら実施し、他のメンバーはそのプロセスを観察し、 質問や意見を出し合います。
特徴:
高度な問題や新規提案書の作成など、複雑なタスクに適しています。ドライバーが自分の 思考を言語化することで、メンバーはプロセスの理解が深まり、学習効果が高まります。
メンバーからのフィードバックや質問により、新しいアイデアや改善点が生まれることが あります。
注意点:
この方法は、『モブプログラミング・ベストプラクティス』では推奨されない方法に似ており、 他のメンバーが受動的になりすぎて、学習や成長の機会が減少するリスクがあります。
また、ドライバーがすべてを説明しながら進めるため、時間がかかる場合があります。
結論、どちらのパターンも一長一短がありますが、チームの習熟度やタスクの内容に応じて 柔軟に使い分けることが重要です。
モブワークの効果を最大限に引き出すためには、メンバー全員が積極的に関与し、相互の フィードバックを尊重することが重要です。
モブワークのやり方
モブワークのやり方は、実際はチームによって様々です。一つの参考例として以下の4つの ステップにまとめました。
ステップ1 目的の明確化と下準備
モブワークを始める際には、まず参加者全員がアクセスできる共通のドキュメントを用意します。
この時、Miro などの作業効率化ツールを活用することで全員で共同作業がしやすく モブワークに最適です。
ドキュメントには「モブワークの目的」「気になること」「やること(ソロ or モブ)」という 見出しを用意します。
目的が “プレゼン資料の作成” であれば、それに対してまず全員で「気になること」を自由に 書き出します。
これはフリーワードでアジェンダの作成、競合の調査、提案プランの設計、制作会社への 見積もり確認など、形式を問わずに記載します。
全ての項目を書き出したら、次に進むべき作業をリストアップします。
ステップ2 タスクの分類とリスト化
次に、書き出した「気になること」リストを話し合いながら「やること」リストに移して いきます。
各タスクは、モブワークで行うものと個人で行うものに分けられます。
モブワークで取り組むタスクは「モブ」の下に、個人で行うタスクは「ソロ」の下に、 取り組むべき時系列を意識しながら並べます。
この時点で不要なタスクはリストから削除しても構いません。これにより、作業の全体像が 明確になります。
ステップ3 モブワークの実行と進行管理
「モブ」のリストの一番上にあるタスクから順に取り組みます。各タスクの進行過程を 具体的にリスト化し、「Aをやって、Bをやって、Cをやれば終わり」というように、細かく 作業手順をリストアップします。
作業中、認識のズレが生じた場合は、すぐに確認と修正を行います。
例えば、「Bは具体的に何する?」や「これは本当に必要?」といった会話が行われます。
適宜休憩を挟みながら作業を進め、終わったタスクにはチェックマークを付けていくことで 達成感を得ることができるのでおすすめです。
ステップ4 クロージングと情報の整理
モブワークのセッションが終わる時、またはメンバーが抜けるタイミングで、情報の整理を 行います。
これを「クロージング」と呼び、10分程度を目安に行います。クロージングでは、以下の項目について話し合います。
そのセッションで行った作業の振り返り
次のセッションで取り組むべきこと
次のセッションまでに個人で行う作業内容
また、その作業を行うために必要な情報の確認(設計方針や資料の場所など)
これらを明確にして終了することで、次回の作業をスムーズに開始することができます。
以上の4つのステップに従うことで、モブワークは効果的かつ効率的に進行することができます。
モブワークを成功させる3つのルール
1. 時間管理と休憩の重要性
モブワークの効果を最大化するためには、作業時間を適切に管理することが重要です。
1日のモブワークの最大時間は5時間を目安とし、例えば、午前に2時間、午後3時間という 構成が理想的です。
これにより、集中力を維持しながら効率的に作業を進めることができます。
また、30分から1時間ごとに10分ほどの休憩を取り入れることで、メンバーの疲労を防ぎ、 作業の質を保つことができます。
調子が良い時はずっとやり続けたくなることもありますが、適度な休憩はリフレッシュ効果を もたらし、メリハリを作れるので休憩サイクルも安定させながら進めることがポイントです。
2. ドライバーの適切な交代
ドライバーの交代は、モブワークの成功において重要な要素です。1モブ単位でドライバーを 交代することで、全員が積極的に参加し、均等に負担を分担できます。
長時間同じ人がドライバーを続けると、疲労が蓄積し、ミスや効率低下の原因となるため、 定期的な交代をしましょう。
これにより、全員が作業に関与しスキルの共有と向上が促進され、主体性の向上が期待できます。
また、交代のタイミングで各メンバーが異なる視点やアイデアを提供することで、チーム 全体の創造性と問題解決能力が鍛えられます。
3. 建設的なコミュニケーションの維持
モブワークでは、メンバー同士が互いを尊重し、建設的に意見を交わすことが不可欠です。
否定的なコメントや批判は避け、常に前向きなフィードバックを心がけましょう。
チームの意見交換が活発であることは、モブワークの成功に直結します。メンバー全員が 自由に意見を出し合い、互いの考えを尊重し合うことで、より良い成果が生まれます。
建設的なコミュニケーションを維持するためには、心理的安全性を確保し、誰もが発言しやすい 環境を作ることが大切です。
モブワークを行うにはMiroがおすすめ
オンラインワークスペースであるMiroは、モブワークのような共同作業を行う時には最適な ツールです。
Miro ボード内では、複数のメンバーがリアルタイムで同時に作業できるため、チーム間で 共有をしながらモブワークに必要なことを全て Miro 上で行うことができます。
また、モブワークを進めながら、ビジネスでよく使われるフレームワークを取り入れたり、 プレゼンの資料を同時に作成したりと、活用できるテンプレートやフレームワークも Miro の 無料素材として用意されているため、より効果的なモブワークを簡単に行うことができます。
Miroを上手に活用しながら、モブワークを実施してみましょう。
以下のリンクから製品ページをご確認いただけます。
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