DX推進に必要な人材育成とは？デジタル人材についてや実際の企業事例をご紹介
DX推進に必要な人材育成とは？
DX推進（デジタルトランスフォーメーション）は、現在多くの企業が取り組んでいます。
その背景には、急速に変化するビジネス環境に適応し、日本国内だけではなくグローバル市場 での競争力を高め、持続可能な成長を実現していかなければならないという現状があります。
一方で、DX推進が簡単には進まないという課題もあります。最大の障壁としては、DX推進が できる人材が不足しているということ。
今回は、DX推進に必要な人材とはどのようなスキルを持っている人なのか、また、そのような 人材をどのようにすれば育てることができるのかを考えてみましょう。
DXの定義とは
DX（デジタルトランスフォーメーション）とは、デジタル（Digital）と変革（Transformation）を組み合わせた言葉です。
トランスフォーメーションという言葉に表現される通り、形を変えて進化するような意味合いが 込められており、企業や社会全体がデジタル技術を通じて、ビジネスのあらゆる側面を根本から 改革する取り組みを示唆しています。
DXを推進する中で「DX化」と並んでよく耳にする言葉として「IT化」や「デジタル化」が ありますが、それらの定義は異なります。
IT化とデジタル化は、デジタル技術を活用して、既存業務の業務効率化を図るという意味です。
一方、DX化は、IT化やデジタル化により社会や生活の形・スタイルが変わることを意味します。
そのため、IT化やデジタル化というのは、DX化を進めるための手段の一つであるという 考え方です。
◆ DX（デジタルトランスフォーメーション）とは？推進の仕方、ITとの違いをわかりやすく解説
デジタル人材とは何か？
デジタル人材とは、DX（デジタルトランスフォーメーション）の推進を担う様々な専門家を 指します。
デジタル人材は特定の技術的スキルだけでなく、幅広い知識と経験を持つことが求められます。
デジタル人材に必要とされる特徴は3つです。
多様な技術スキルとビジネススキルの両方の視点
役割に応じた特定のスキルセットと、他領域への知識
DX推進における柔軟性と適応力
それぞれの特徴の詳細を見てみましょう。
1. 多様な技術スキルとビジネススキルの両方の視点
デジタル人材には、エンジニアリングやデータサイエンスなどの技術的スキルに加えて、 ビジネスサービスの設計やプロジェクト管理などのビジネススキルも必要です。
これにより、技術とビジネスの両面からDXを推進することができます。
2. 役割に応じた特定のスキルセットと、他領域への知識
デジタル人材の役割は一様ではなく、各役割に応じて求められるスキルが異なります。
例えば、プロデューサーは主にプロジェクト管理や事業設計を担当し、技術的な実装は 行わないことが多いですが、技術動向の理解や提案の評価には一定の知識が求められます。
3. DX推進における柔軟性と適応力
デジタル人材は、一つの分野に特化したスーパーマンではなく、変化する技術やビジネス環境に 柔軟に対応できる能力が求められます。
必要とされる役割やスキルセットを理解し、自社のニーズに応じた最適な人材を採用することが 重要です。
このように、デジタル人材とは技術とビジネスの双方に精通し、変化に適応できる柔軟な 専門家を指します。
全ての知識を完璧に備えた一人を見つけることは難易度がかなり上がってしまいます。
そのため、ひとつの専門領域を持ちながら他の領域に対しても基礎知識を持つ人材が理想的です。
企業は自社に必要なスキルセットを見極め、適切なデジタル人材を育成したり、採用することが DX推進の鍵となります。
DX推進の種類分け
自社のDX化を成功させるためには、DXの種類に応じた適切な人材を確保することが重要です。
DXは大きく3つのタイプに分けられ、それぞれ異なるスキルセットや特性が求められます。
自社に必要な人材はどのカテゴリに当てはまるかイメージしてみて下さい。
1. プロセスDXの推進者
プロセスDXの推進者は、従来の業務プロセスをデジタル技術で変革する役割を担います。
彼らは業務の可視化や自動化を通じて、効率化と改善を実現します。
このタイプの人材は、業務フローの分析能力とデジタルツールの活用スキルが必要です。
例えば、RPA（ロボティック・プロセス・オートメーション）を用いた業務自動化や、 データ解析による業務改善提案などを行える人材です。
また、業務ナレッジの共有を推進し、組織全体の生産性向上に貢献することも期待されます。
コミュニケーション能力も重要で、チームメンバーと連携して改善プロジェクトを進めることが 求められます。
2. ワークスタイルDXの推進者
ワークスタイルDXの推進者は、働き方改革をデジタル技術で実現する専門家です。
この役割に求められるのはテレワークの推進やタレントシェアリングを通じて、時間や場所の 制約を減らし、多様な働き方を支援することです。
このタイプの人材は、リモートワークツールやクラウドサービスの導入・管理に精通しています。
また、従業員体験（EX）の向上を目指し、デジタル環境の整備や社員のエンゲージメント 向上策を提案する必要があります。
柔軟な発想力と高いコミュニケーション能力が求められ、社員のニーズを理解しつつ、 働きやすい環境を構築することが使命です。
3. ビジネスDXの推進者
ビジネスDXの推進者は、デジタル技術を駆使して新たな事業を創造する役割を担います。
この役割は市場の変化に対応し、革新的なビジネスモデルを構築することが求められます。
このタイプの人材は、戦略的思考と高い技術理解力を兼ね備えています。
具体的には、新規事業の開発や既存ビジネスモデルの変革をリードし、企業の競争力を強化 することを期待されます。
マーケットリサーチやデータ分析を活用し、ビジネスチャンスを見極める能力が重要です。
また、内部・外部のステークホルダーと協力し、プロジェクトを推進するための優れたリーダー シップが求められます。
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これらの3種類のDXに合わせて、人材をバランスよく見極め配置したり、採用することが自社の DXを効果的に推進する鍵となります。
DX人材に向いている7つの資質
DXを推進する人材について、技術・スキル面だけではなく、その人の資質についても考えて みましょう。
DX人材は多様な状況に対応し、革新を生み出すための特性が求められるため、7つの資質・力 としてまとめました。
未来を創造する力
柔軟な対応力
協力と巻き込み力
失敗から学ぶ力
モチベーションと意義付けの力
困難を乗り越える力
越境学習に取り組む力
それぞれの力を詳しく解説します。
1. 未来を創造する力
DX人材は、現状を深く理解し、新しい分野への挑戦を厭わず、理想とする未来を描き、 その実現に向けて積極的に取り組む能力が求められます。
彼らは未来のビジョンを明確にし、それに向かって進むための計画を立てることができます。
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2. 柔軟な対応力
変化の激しい環境において、計画通りに進まない状況に適応し、柔軟に対応できる力が必要です。
計画に過度に固執せず、状況に応じて戦略を変更し、最適な方向に進むことができる姿勢が 重要です。
3. 協力と巻き込み力
対立する意見や異なる背景を持つメンバーをまとめ、外部のリソースとも積極的に連携する 能力が求められます。
他者を巻き込みながら、自分自身の成長と変化の糧にできる包容力を持つことが重要です。
4. 失敗から学ぶ力
失敗を恐れず、それを学びの機会と捉えて前進する姿勢が必要です。
失敗を糧にし、次のチャレンジに活かすことができるメンタリティが、DX推進の鍵となります。
5. モチベーションと意義付けの力
解決したい課題を明確にし、自分の言葉で説明できる能力が求められます。
主体性と好奇心を持ち、前向きに取り組む姿勢が大切です。自身の役割や目標に対する強い 動機付けが、成果を生み出します。
6. 困難を乗り越える力
困難な状況に直面しても、解決策を見つけ出し、壁を突破するリーダーシップが必要です。
問題解決への責任感と実行力を持ち、チームを導く力が求められます。
7. 越境学習に取り組む力
自分の専門領域に限らず、他の分野の知識を学び、新たな視点やアイデアを取り入れる能力が 重要です。
異なる領域の知識を融合させ、プロジェクトの全体像を見通す力が、DXを成功に導きます。
このような特徴がDX人材において重要視されると考えられます。
全てを完璧に揃える必要はないものの、これらのポイントを念頭に、個人の強みと掛け合わせ ながらDX人材の教育ができることが理想です。
DX人材を確保する方法
企業がDXを推進するためには、これまでに解説してきたような適切な人材の確保が重要です。
人材の獲得方法を具体的に考えてみましょう。
1. DX人材の採用
まず、人材市場で直接DX人材を採用する方法があります。
近年、IT業界出身者の需要が急増し、競争が激化しています。そのため、採用ターゲットを 明確にし、自社の課題を洗い出して、必要なスキルやノウハウを明確にすることが重要です。
また、魅力的な企業であることを伝える際に、自社の理念やビジョンなどDXを取り入れて どのような姿になりたいと考えているのかということを伝えることで、自社のビジョンに共感を 持つ人材とのマッチングが可能になります。
DX人材の採用活動は加速しているため、自社のスタンスを強く持ちながら、「攻め」の姿勢で 採用活動を行うことが大切です。
2. 社内での育成
次に、社内にいる適任者を発掘し、育成する方法です。多くの企業で、プロジェクト マネジメントやビジネスデザインのスキルを持つ人材が既に存在しています。
これらの人材に対して、座学での知識習得やハンズオン講座、社外講師による講演を通じて、 DXに必要なスキルセットやマインドセットを学ばせます。
その後、OJTで実務に適用し、実行力を鍛えていきます。社内の人材を育成するというやり方の 良さは、自社への理解や社内のチームワークが既に備わっていることです。
DX推進は組織全体の協力が必要不可欠なため、外部人材のみに頼らず、社内人材への投資として 取り組むことも意義があります。
3. 外部人材の活用
最後に、外部人材を活用する方法があります。外部人材を活用することで、特定の課題に 対応するための専門知識やスキルを持つスペシャリストを短期間でアサインできます。
特に、新規事業の立ち上げや特定のプロジェクトにおいては、フリーランスのエンジニアや コンサルタントなどの専門家を活用することが効果的です。
これにより、社内にないスキルを補完し、迅速にDXを進めることができます。
外部人材の活用をする際の留意点として、2で解説したような社内組織との連携部分を丁寧に サポートする必要があります。
DX推進を加速している企業事例
様々な企業が自社のレポートや経産省の調査などから、DX事例のヒントを公開しています。
企業によってDX化のやり方は違っており、自社の強みをデジタル化によってさらに革新できる という点を狙って実践しています。
事例を参考にしながら、DX化できる自社の強みを検討してみましょう。
1. 株式会社ブリヂストンのDX事例
株式会社ブリヂストンは、リアルとデジタルを融合し、新しい価値創造を目指しています。
2050年までに持続可能な価値を提供する組織への変革を掲げ、DXを推進しています。
その中でも特に注目されるのは、技能伝承システムの導入です。ものづくりにおける匠の技を デジタル化し、効率的に技術を伝える仕組みを構築しました。
これにより、技能の継承が確実に行われるようになり、生産性の向上につながっています。
また、航空機用タイヤ事業では、AIとフライトデータを活用して、タイヤ交換の最適な時期を 予測するシステムを開発しました。
これにより、計画的なタイヤ交換が可能となり、サービスの信頼性が大幅に向上しました。
ブリヂストンのこれらの取り組みは、製造業におけるDXの先進的な事例として注目されています。
2. 株式会社リコーのDX事例
株式会社リコーは、従来の製造業からデジタルサービス企業への転換を目指し、AI技術を 積極的に導入しています。
特に、トナー工場においてAIを活用することで、生産性の向上と品質の改善を実現しました。
以前は熟練技術者が担当していた品質管理やデータ制御のプロセスをAIで自動化し、 生産効率を2倍に向上させることができました。
さらに、不良品の発生率を大幅に低減することにも成功しました。
この成果の背景には、生産技術者がAI技術を習得し、業務知識とAIの融合を図った点が 挙げられます。
リコーの取り組みは、AI技術を駆使して製造プロセスを最適化し、従来の業務の枠を超えて 革新を生み出す好例です。
3. 株式会社ユニ・チャームのDX事例
株式会社ユニ・チャームは、消費者のニーズを的確に捉えた製品開発を目指し、データ活用を 中心としたDXを推進しています。
具体的には、消費者行動データや市場データの収集と分析をし、新商品の開発や既存商品の 改良に役立てています。
特に、AIを活用した市場予測モデルを導入することで、消費者の需要を予測し、適切な タイミングで商品を投入することが可能となりました。
さらに、製造プロセスにもデジタル技術を取り入れ、工場の自動化と効率化を進めています。
これにより、生産コストの削減と品質の向上を両立させることができました。
ユニ・チャームの事例は、データ駆動型のアプローチを取り入れ、消費者ニーズに即応する 製品開発と製造プロセスの最適化を実現した成功例です。
DX推進を行うにはMiroがおすすめ
オンラインワークスペースであるMiroは、DX推進のような共同作業を行う時には最適な ツールです。
Miroボード内では、複数のメンバーがリアルタイムで同時に作業できるため、チーム間で 共有をしながらモブワークに必要なことを全てMiro上で行うことができます。
DX化を効率的にかつ効果的に実行するには、組織全体の連携が必要不可欠です。
DX推進をリードするDX人材は、DX化のプロジェクトに関連する必要情報を一箇所に 正しくまとめ、必要な時に誰でもアクセスできるような環境を整えておく必要性があります。
Miroを上手に活用しながら、DX推進を強化していきましょう。
以下のリンクから製品ページをご確認いただけます。
◆ DX推進に役立つ Miro のオンラインツール ◆ DX推進に役立つ Miro のオンラインテンプレート ◆ 作業の効率化に役立つ Miro のAIツール
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