タイミング図とは?必要な要素や書き方を例を使って解説
タイミング図は、UML(統一モデリング言語)の一種であり、ソフトウェアやシステム設計において重要な役割を果たす図です。
タイミング図は、イベントのタイミングやシステム内の異なる要素間の相互作用を視覚的に表現するための重要なツールとして活躍します。
この記事ではそんなタイミング図についてや構成要素、書き方についてご紹介しています。
記事の最後にはタイミング図の作成におすすめのオンラインツールについてもご紹介しているので、ぜひご確認ください。
タイミング図とは?
UML におけるタイミング図とは、特定の期間における、オブジェクトに関連するイベントのタイミングに焦点をあてた図です。
この図を使うことでシステム全体を俯瞰しやすくなり、各コンポーネントがタイミングやプロセスにおいて調和して動作するようにシステムを設計できるようになります。
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タイミング図とシーケンス図の違い
シーケンス図は、時間の経過とともに行われる一連の処理や動作を表すための振る舞い図です。
ワークフローの定義やオブジェクト間のメッセージを表すときに使用される図であり、システムの最終的な動作までのプロセスを時間軸に沿って表すことに使用されます。
一方でタイミング図は、シーケンス図と比べてよりシンプルな構造をしており、異なるオブジェクトの関係や動作を同じ時間軸の中で表現するときに使用される図です。
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タイミング図の構成要素
UMLタイミング図の主要な構成要素を理解することは非常に重要です。
UMLタイミング図はいくつかの主要なコンポーネントで構成され、それぞれがシステム内のタイミング関係を視覚的に表現するために不可欠です。
以下で各構成要素を見ていきましょう。
ライフライン
「ライフライン」とは、個々のシステム要素を表し、オブジェクトが時間とともにどのように変化するかを示す垂直線として示されます。
状態
「状態」とは、ライフライン上の水平セグメントで、特定の時刻における対象物の状態を示します。
状態遷移
オブジェクトがある状態から別の状態へ遷移するライフライン上のポイントで、動作分析には欠かせない要素です。
▼ 関連ページ 状態遷移図(ステートマシン図)とは?書き方や状態遷移表との違いを解説
時間の制約
時間的側面を理解するために不可欠な、状態変化やイベントのタイミング要件を示す注釈をタイミング図では「時間の制約」と呼びます。
相互作用の発生
システム・コンポーネント間の相互作用を示す、ライフライン間の矢印または接続線を示します。
注釈
「注釈」は、タイミング図の局面を明確にしたり説明するために追加された情報やコメントのことを指します。
時間軸
ライフラインと交差する水平の目盛りである「時間軸」は、ダイアグラムの時間計測の枠組みを提供してくれます。
各コンポーネントは、システム要素の複雑なタイミングや相互作用を伝える上で重要な役割を果たしており、UMLタイミング図はシステム解析や設計において重要なツールとなっています。
タイミング図の書き方
タイミング図の作成には、システム内のタイミングと相互作用の正確な表現を保証する詳細なプロセスが含まれます。
ここでは、わかりやすいタイミング図を作成するための書き方、いくつかのステップを通してご紹介します。
Step 1:プロセス対象・を特定する
まず、表現したいプロセスやオブジェクトを明確に定義することから始めましょう。
これはシステムの特定の部分であったり、一連のイベントであったり、さまざまなコンポーネント間の相互作用であったりします。
描こうとしているものの範囲と境界を理解することは、正確さを保つために非常に重要です。
Step 2:主要なイベントと時間枠を決定する
プロセスまたは対象を特定したら、発生する主なイベントとその時間枠を概説する。
これには、開始点と終了点、プロセス内の重要なマイルストーンや決定点を特定することも含まれる。
Step 3:ライフラインをリストアップする
タイミング図では、ライフラインはシステム内のさまざまな要素やオブジェクトを表します。
各ライフラインは通常、上から下に時間の経過を示す垂直線です。
各ライフラインには、どのシステムコンポーネントを表しているかを示す明確なラベルを記入します。
Step 4:状態と状態の変化を説明する
各ライフラインについて、オブジェクトやエレメントがとりうるさまざまな状態を説明します。
状態は通常、ライフラインに沿った水平セグメントとして表され、時間の経過とともに、いつ、どのように状態が変化するかを明確に区分します。
Step 5:時間的制約を設定する
時間制約はタイミング図において重要です。
これには、特定の状態やイベント間の時間間隔に対する特定の持続時間が含まれます。
これらの制約を正確に描くことは、システムの異なる部分間のタイミング関係を理解するのに役立ちます。
Step 6:相互作用の発生を追加する
プロセスに異なる要素間の相互作用が含まれる場合は、それらを図で表します。
これは、ライフライン間に矢印や線を引くことで、異なるシステムコンポーネント間の制御や通信の流れを示すことができます。
Step 7:見直しと編集
タイミング図の基本的な構成ができたら、図の情報が正確かつわかりやすく表現されているか確認しましょう。
必要に応じてレイアウト、間隔、ラベルを調整することで、図がより理解しやすくなります。
Step 8:関係各所とタイミング図を共有する
主要な利害関係者やチームメンバーと図を共有し、検証を行いましょう。
他の人からのフィードバックは、矛盾やより明確化が必要な領域を特定するのに役立ちます。
共有した後は、フィードバックに基づいて、必要な調整を追加しましょう。
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Step 9:最終確認と文書化
検証と最終調整が終わったら、タイミングダイアグラムを完成させます。
明確なタイトル、必要であれば凡例、タイミング図の背景と目的を説明する簡単な説明を付けて、適切に文書化されていることを確認してください。
これらのステップに従うことで、システムやプロセス内のタイミング関係を効果的に伝える、明確で正確、かつ有用なタイミング図を作成することができます。
タイミング図の作成で気をつけたいこと
タイミング図の明確さと正確さを確保するために、複雑にしすぎたり、重要な時間的制約を省いたりするような一般的な落とし穴は避けてください。
ダイアグラムを定期的に見直し、更新し、システムの変更に対応させることをおすすめします。
タイミング図の活用例
タイミング図は、単なる理論的な構成要素ではなく、さまざまな領域で実用的な応用が可能です。
このセクションでは、ソフトウェア開発からシステム設計に至るまで、この図が実際のシナリオでどのように利用されているかの活用例をご紹介します。
ソフトウェア開発
タイミング図は、ソフトウェア開発におけるシステムの複雑な動作を管理するために不可欠であり、すべてのコンポーネントがシームレスかつ効率的に相互作用することを保証してくれます。
ビジネスプロセスモデリング
タイミング図をビジネスプロセスモデリングで活用することで、さまざまなビジネス活動のタイミングと順序を明確に示すことができ、ワークフローとオペレーションを最適化することができます。
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システム設計
システム設計において、タイミング図は、ハードウェアとソフトウェアの統合システムを設計する際に重要な役割を果たし、すべてのパーツが同期して動作することを保証してくれます。
タイミング図の作成には Miro がおすすめ
ビジュアルコラボレーションツールである Miro では、システム・ソフトウェア開発に 役立つツールやテンプレートを使ってタイミング図を効率的に作成できます。
PluntUML や Mermaid アプリなども使うことでコード内で図の編集ができるため、 編集しているシステムを一から組み直す必要もなくなります。
作図に役立つ AI 機能も充実しているため、ぜひ明日からのUML図の作成に Miro を お試しください。
製品ページは以下のリンクからご確認いただけます。
◆ Miro のUML図作成ツール ◆ Miro の図作成ツール ◆ Miro のダイアグラムテンプレート ◆ Miro のシステム構成図作成ツール ◆ PlantUMLアプリについて ◆ Mermaid アプリについて