シーケンス図とは? 書き方のポイントや 構成要素・記号を例を使って解説
シーケンス図は、システムの概要や仕様、処理の流れを表した図であり、システム開発 において設計書として使用されます。
シーケンス図を作成することにより、クラス・オブジェクト間の関係を時間軸に沿って 簡単に把握することができるようになります。
この図は、UML(Unified Modeling Language:統一モデリング言語)の1つであり、 設計プロセス内で発生する成果物のの一種です。
IT業界ではこのような用語がたくさん存在します、この記事ではその用語の1つである 「UMLシーケンス図」についてわかりやすく解説したいと思います。
記事内ではUMLに関連する記事へのリンクやシーケン図を作成におすすめのツールや テンプレートもご紹介しているので、ぜひご参照ください。
それでは、シーケンス図について見ていきましょう。
シーケンス図とは?
上記でも少し触れたように、シーケンス図とは、システム開発においてシステムの概要や 仕様、処理の流れを表した図であり、UML(Unified Modeling Language:統一 モデリング言語)の1つです。
シーケンス図を作成することでクラス・オブジェクト間で発生する関係を時間軸に沿って 記号や図、線を使って可視化できるようになります。
また、この図は設計図としての役割だけでなく、開発・保守・運用フェーズを通して システムの詳細を把握するためにも活用することができます。
様々な部門が参加するプロジェクトにおいては、技術的な経験や知識を持たないメンバー でもシーケンス図を見るだけで、システムの大まかな概要を把握できるのもこの図を 作成するメリットです。
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そもそもなぜシーケンス図が必要なのか?
シーケン図は、プロジェクトメンバーやクライアントへの説明や開発作業など、 システム開発に関する業務で幅広く活用されます。
さらに、この図は、コミュニケーションツールとしての機能を持っており、 開発プロセスにおいて、認識の共有や情報の把握に役立つ図です。
ここでは、上記の内容を含めたシーケン図のメリットについてご紹介します。
システム処理情報をわかりやすく図で表現できる
シーケンス図を作成する最大のメリットは、システム処理の概要・仕様・手順を図を 使って簡単に整理できることです。
シーケン図では、システムの流れを特有のルールや図、記号を使って表現するため、 テキストベースの仕様書を読むよりも、図を見るだけで一目で情報を把握できます。
そのため、システムの全体像を可視化することで、潜在的な問題やミス、追加要素も 同時に洗い出すことが可能です。
特に、大規模なシステム開発プロジェクトのケースでは、シーケンス図を使うことで、 システムの詳細や仕様を理解するのがより簡単になります。
プロジェクトメンバーやクライアントへの情報共有がしやすい
シーケンス図では、システム処理の詳細が時間軸に沿って表現されているため、 開発プロジェクトにおいて、プロジェクトメンバーやクライアントとの情報共有にも 役立ちます。
テキストベースの文書や資料、口頭でシステム内容を開発した場合、システムに対する イメージがうまく共有できなくなり、認識のズレや混乱を発生させてしまい、 認識のすり合わせに情報が取られてしまうといったことも多くありません。
そのため、シーケンス図という共通の言語を確立することで、プロジェクトメンバー・ クライアントと同じ認識を持ちながらプロジェクトを進めることができ、余分な修正作業や 仕様変更といったリスクも回避できます。
メンテナンスや追加作業もスムーズに進められる
シーケンス図は、新しいシステムの設計だけでなく、メンテナンスや追加作業が 発生した時でも、システムのどの部分が改善されるべきなのかや、どのような要素を 追加する必要なのかなどの分析に役立ちます。
また、システム開発では新規システム開発時とメンテナンス・追加開発時に異なる メンバーが割り振られることが多くあります。
このような場合に、すべてのメンバーが同じシーケンス図を参照することで、新規開発・ 納品・保守・追加開発のような一連のフェーズを組織を通して同じ目線で進められる ようになります。
シーケンス図とクラス図の違い
シーケンス図とよく混同される図に「クラス図」があります。
その名が示す通りクラス図は、システムを構成しているクラス(共通の特性を持つ オブジェクトのグループ)間の関係やソースコードの依存関係など表すためのUML図です。
クラス図とシーケンス図の違いは「構造」か「挙動」を図を使って表すことであり、 シーケンス図がシステム内の処理の流れ(挙動)を表す一方で、クラス図では 各オブジェクトの役割や関係(構造)を示します。
しかし、これらの図の使用は、かけ離れたものではなく、さまざまなケースで 使い分けたり、組み合わせて使用されます。
▼ 関連ページ UMLクラス図とは?書き方や作成のコツなどを例を使ってわかりやすく解説
シーケンス図の構成要素
シーケンス図の作成は、よく複雑なものであると思われがちですが、実は4つの要素を 特定のルールに沿って組み合わせたものです。
そのため、これらの4つの要素をしっかりと理解することで、初めて図を作成する人でも パズルを解いていくかのように簡単にシーケンス図が作成できます。
これらの要素については以下をご参照ください。
シーケンス図で使う4つの構成要素
ライフライン:オブジェクト名・クラス名を記述して示すための要素です。
実行仕様:ライフライン上で実行される処理プロセスを記述するための要素であり、 ライフライン上に設置されます。
停止:ライフライン上で処理が実行されていない場合を表す要素であり、処理が完了して ライフラインを破棄する際に使用します。通常、×印で表記されます。
メッセージ:送付先のライフライン上の処理実行に対するメッセージで「同期・非同期・ 応答・ファウンド・ロスト」の5種類のメッセージがあります。
シーケンス図の「複合フラグメント」
シーケンス図では、並列処理・ループ処理・条件分岐などの具体的な処理内容を示す 記号ルールが記入されます。
代表的なものとして、以下の10種類の「複合フラグメント」が使用されます。
以下で名称と内容を見ていきましょう。
alt「条件分岐」:条件に応じて処理内容を分岐することを示す複合フラグメント、 ガードと呼ばれる括弧「[]」でされる。
opt「条件一致」:条件を満たした場合に処理を実行することを示す複合フラグメント、 ガードと呼ばれる括弧「[]」で記述される。
par「並列処理」:複数の指示を同時に処理することを示す複合フラグメント、 実行される処理内容については点線で区切る。
loop「ループ処理」:何度も同じ処理を繰り返すことを示す複合フラグメント、 「Loop[開始条件,終了条件]」の形式で記入する。
consider「重要処理」:重要な処理であることを示す複合フラグメント、 「consider{処理内容A、処理内容B}」のように記述する。
break「中断処理」:ループ処理を中断することを示す複合フラグメント、 中断の条件を[]を使って示す。
neg「否定処理」:許可されない処理であることを示す複合フラグメント、 エラーを返す部分を枠線で囲み、左上に「neg」を記述する。
ignore「無効処理」:命令を無視するために使用される複合フラグメント。
critical「排他処理」:マルチスレッド環境における排他制御であり、処理を受け付け ないことを示す複合フラグメント。
ref「外部参照」:別シーケンスを参照する必要があるとを示す、システム規模の 拡大により1つのシーケンス図で情報を整理できない場合に使用する複合フラグメント。
シーケンス図の書き方
シーケンス図の作成は、よく難しいものと認識されがちですが、システムを理解し、 詳細な計画を立てることで、わかりやすいシーケンス図が作成できるようになります。
このセクションでは、シーケンス図の作り方の一例を見ていきましょう。
Step 1:可視化したいシステムの概要と構成要素について考える
まずは、どのようなシステムの概要とどの構成要素を使ってシステム内の関係を示すかを 考えてみましょう。
これらは、ユーザー、別のシステム、または外部デバイスであり、要素と、要素が 相互作用するシステムが、シーケンス図に記入するコンポーネントであることを 覚えておきましょう。
Step 2:シーケンス図の適用範囲を定義する
図の作成を始める前に、その範囲を定義する必要があります。
単一のユースケースを示すのか、特定の機能を示すのか、それともシステム全体のプロセス を示すのか。何を表現しようとしているかを知ることが、図の作成の指針になります。
Step 3:ライフラインを特定する
ライフラインは、システム内の個々のコンポーネントと、時間の経過に伴うそれらの 相互作用を表します。
ライフラインは縦線を使って表現され、相互作用は横線または矢印で表されます。 システムプロセスまたはユースケースに関係するライフラインを特定することで、 シーケンス図の基礎を整えられます。
Step 4:相互作用を特定し、概要を記入する
要素どうしの相互関係を示すことは、シーケンス図の作図の中で一番重要なプロセスです。
このステップでは、どのライフラインが相互に作用し、どのように、またどの順序で 処理されるかを定義します。
これらの相互作用を理解することは、システムプロセスを表現する上で非常に重要です。
Step 5:アクティベーションボックスを追加する
アクティベーションボックスは、ライフライン上に細い四角形を使って記入され、 オブジェクトがいつアクティブになるかを示します。
アクティベーションボックスを追加することで、処理シーケンスとタイミングを図の中で 可視化できます。
Step 6:メッセージを記入する
オブジェクト間の相互作用を表すために矢印を使用します。
矢印はオブジェクト・要素間の送受信を表し、これらの処理を表すメッセージを 記入する必要があります。
Step 7:複合フラグメントを記入する
通常、シーケンス図内のシステム概要やユースケースの解像度を上げるために、 loop(ループ)や opt(条件一致)、alt(条件分岐)、par(並列処理)などの 複合フラグメントを記入します。
複合フラグメントを使用することで、システム内で発生する処理の流れをわかりやすく 整理でき、より複雑な相互作用を明確に表現することができます。
Step 8:シーケン図の見直し・改善
シーケンス図が完成した後は、情報に抜けがないかや理解しにくい場所がないかを見直し、 必要であれば修正しましょう。
一見とても専門的に見えるシーケンス図ですが、使用するルールや図形・記号を 覚えることで、初心者の方でもパズルを組み立てるかのように作成できるようになるので、 この記事で解説したことをぜひ実践でも試してみてください。
UML(UML(Unified Modeling Language:統一モデリング言語)の1つであり、 この図を作成することでシステムの概要や使用、処理プロセスをプロジェクトメンバーや クライアントと共有しやすくなります。
シーケンス図とは、システムに開発においてオブジェクト間の処理プロセスを時系列で 表した図です。
まとめ
シーケンス図とは、システムに開発においてオブジェクト間の処理プロセスを時系列で 表した図です。
UML(UML(Unified Modeling Language:統一モデリング言語)の1つであり、 この図を作成することでシステムの概要や使用、処理プロセスをプロジェクトメンバーや クライアントと共有しやすくなります。
一見、作成に専門的な知識が必要であるかのように見えるシーケンス図ですが、 使用するルールや図形・記号を覚えることで、初心者の方でもパズルを組み立てるかの ように作成できるようになるので、この記事で解説したことをぜひ実践で試してみてください。
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