マーケティングでのタッチポイントとは?使い方や例をご紹介
どんな企業のマーケティングにおいても「タッチポイント(顧客接点)」は、企業の認知度の 向上や特定のランディングページに潜在顧客を遷移させるために戦略的に設定される必要が あります。
特に、現在の市場ではソーシャルメディアなどのデジタルプラットフォームが主流となって きているので、ターゲット顧客層に合わせてタッチポイントを多様化することが求められて います。
この記事ではそんなタッチポイントについてや、その例、戦略の立て方を解説しています。
記事の最後にはタッチポイントの分析・戦略立案におすすめのツールやテンプレートも ご紹介しているので、ぜひご確認ください。
それでは、タッチポイントについて見ていきましょう!
タッチポイントとは?
まず「タッチポイント」とはマーケティングにおいて「顧客とビジネスをつなぐ接点」の ことを指します。
英語でも「Touch Point」と書かれ、文字通り「Touch:触れる」と「Point:点・接点」 という意味があります。
タッチポイントには様々な種類が存在し、デジタル化が進んでいる現在の社会では、 タッチポイントを多様化させることが市場で勝ち残るための条件とされています。
タッチポイントとチャネルの違い
タッチポイントとよく混同される言葉に「チャネル」があります。
一般的には、チャネルも「顧客とビジネスをつなぐ接点」と説明されていますが、 チャネルは広告やテレビCM、SNSといった顧客との接点に用いられる手段・手法自体を 指す言葉です。
タッチポイントでは、このチャネルを通じて顧客が持つプロダクト・サービスの考え方や 認知度を変化させる過程も含まれているので、チャネルとは少し違ったニュアンスがあると 言えます。
タッチポイントが重要な理由
昔のマーケティングではテレビや新聞といったマスメディアが大きな情報ソースであったため、 限られた媒体のみでプロダクト・サービスの認知度を向上することが主流でした。
しかし、現在の市場では、スマートフォンの普及やデジタル化が進み、顧客が情報を受け取る タイミングやチャネルも多様化してきているため、タッチポイントを分析し、戦略的に 設定する必要があります。
以下では、どうしてマーケティングにおいてタッチポイントが重要なのかをより深く掘り下げ たいと思います。
プロダクト・サービスの認知度の向上
どれほど自社のプロダクト・サービスが素晴らしくても、顧客に認知してもらわないことには、 売り上げを出すことはできません。
認知度を高めるためにはタッチポイントを増やすことが重要であり、顧客のニーズにマッチ しているプロダクトであれば、すぐにコンバージョンも望めます。
プロダクト・サービスの特性やターゲット顧客層のカスタマージャーニーに合わせて、 不特定多数の人に向けたや宣伝やターゲットを絞ったアプローチなど、目的に合わせた タッチポイント戦略を立てましょう。
▼ 関連ページ カスタマージャーニーマップとは?詳しい作り方や注意点を例を使って解説
ブランドイメージを強化できる
自社が提供しているプロダクト・サービスのブランドイメージを強化し、他社製品との ブランドポジションを差別化することにもタッチポイントが大きな役割を持ちます。
ブランドが持ちたいイメージに合わせてタッチポイントをうまく設定することで、顧客の 体験や印象を大きく変化することができ、プロダクト・サービスのユニークなイメージが 市場で確立できます。
タッチポイントの良い例として「スターバックスコーヒー」を見てみましょう。
人気のカフェ「スターバックスコーヒー」ではコーヒーを購入するためのカフェではなく、 空間を提供するお店だとしてのイメージを高めるために、タッチポイントを工夫しています。
そのため、テレビや新聞の広告などではなく、店舗数を増やし、「スターバックスコーヒーの 空間・インテリア」を体験してもらうことでタッチポイントを作ろうとしています。
継続的なプロダクト・サービスの利用が望める
一般的に、新規顧客を獲得するためのコストは、リピーターを維持するコストの5倍かかると されています(「1:5の法則」)。
そのため、顧客が自社プロダクト・サービスを購入した後でも顧客との接点を持ち続ける ということが、長期的な利益の向上に必要です。
継続的な利用を促進するためにもビジネスモデルに適したタッチポイントを設定し、 顧客のペインポイントの解消や顧客の満足度を改善する必要があります。
▼ 関連ページ ビジネスモデルキャンバスとは?事例と書き方をわかりやすく解説
オムニチャネルマーケティングに対応できる
オムニチャネルマーケティングとは、複数のチャネルを統合し、実店舗、アプリ、ウェブ サイト全体で統一性および一貫性のあるブランド体験を提供する顧客中心のアプローチの ことを指します。
そのため、タッチポイントを適切に設定し、顧客データの一元化を行えば、スムーズに オムニチャネルへ移行でき、顧客体験の向上にもつながります。
タッチポイントの例
タッチポイントは、購入前・購入時・購入後の時系列に分類することができます。
以下で各タッチポイントの例について見ていきましょう。
購入前のタッチポイント
Web広告
テレビCM
パンフレット
チラシ
割引券
ソーシャルメディア
オウンドメディア
ブログ
口コミサイト
カタログ
購入時のタッチポイント
実際の店舗
販売スタッフ
EC・通販サイト
パッケージや包装
購入後のタッチポイント
カスタマーサービス・サクセス
ユーザーコミュニティ
ユーザーイベント
ユーザー向けウェビナー
アフターフォロー
クレーム対応
ダイレクトメール
セミナー
電話
メールマガジン
以上が代表的なタッチポイントの例となります。
自社のプロダクト・サービス、ブランドポジショニング、ターゲット顧客層のニーズを 俯瞰して、どのタッチポイントがベストなのか分析しましょう。
タッチポイントの設定方法・使い方
上記ではタッチポイントについてやタッチポイントの種類についてよく知っていただけたと 思います。
ここでは実際のタッチポイントの設定方法や使い方について5つのステップに分けて見て いきましょう。
Step 1:ペルソナを設定する
タッチポイントに考えていく前に、誰に対してタッチポイントを作っていくのかペルソナを 設定することでイメージしやすくなります。
ペルソナとは、名前や性別、年齢などの基本的なプロフィールに加え、ライフスタイルや ペインポイントなどが設定された架空の顧客像のことを指します。
また、ペルソナを設定するときには、ブランドイメージを明確にすることで、どのような 顧客層にどのようなメッセージやブランドイメージを持って欲しいのかを具体化することが できます。
実際の顧客にヒアリングしたり、過去のデータを参照したりして自社のブランドイメージや プロダクト・サービスに適したペルソナを設定しましょう。
加えて、ペルソナを設定するときには自社の先入観ではなく、より客観的な視点や情報 ソースを使うことで、ターゲットにする顧客層のニーズに寄り添ったペルソナを設定できる ようになります。
▼ 関連ページ ペルソナとは?事例を使った設定方法や意味を解説
Step 2:カスタマージャーニーマップを作る
ペルソナが完成したら、次にカスタマージャーニーマップを作りましょう。
カスタマージャーニーマップは、ユーザーがプロダクト・サービスを購入するまでに通る 道のり(プロセス)を図で可視化したものです。
このマップを作ることで、自社プロダクト・サービスの認知や購入のきっかけになるタッチ ポイントを特定することができます。
また、顧客がプロダクト・サービスを購入するまでのプロセスの全体を図を使って俯瞰する ことで、販路内の妨げとなるポイントやコンバージョンを下げる可能性のあるリスクも 特定しやすくなります。
Step 3:ストーリーを分析する
カスタマージャーニーマップを作って各タッチポイントがマッピングできたら、タッチ ポイントごとのストーリーを分析していきましょう。
テレビや雑誌などのマスメディアを使った場合、不特定多数の潜在顧客にアプローチする ことができますが、特定のニーズに絞り込んだ情報を発信することができません。
一方でターゲティング広告の場合は、アプローチできる潜在顧客の範囲は狭まるものの、 自社のプロダクト・サービスがターゲットにしている顧客へのアプローチが可能となります。
そのため、自社プロダクト・サービスをどのようにタッチポイントを通して認知してもらい たいのかやどのようなタイミング、方法、どのチャネルを使うのかをしっかり考えて おきましょう。
誤った方法や不適切なタッチポイントを作ってしまうと顧客が離れてしまうことがあるので、 共感マップなども作ってタッチポイントごとのペルソナの心情の変化を分析し、ストーリーを 作りながらタッチポイントを設定しましょう。
▼ 関連ページ 共感マップとは?6つの要素やメリットや作り方を詳しく解説
Step 4:さまざまな種類のチャネルから顧客にアプローチする
顧客ストーリーが明確になった後は、さまざまな種類のチャネルから顧客にアプローチ していきましょう。
広告や店舗、ソーシャルメディアなどさまざまな種類のチャネルを活用してタッチポイントを 作っていくことが重要です。
また、上記でも説明したように、どのようなタッチポイントを合わせてオムニチャネル マーケティングでのシームレスなタッチポイントを作れるのかを考えることで、顧客体験の 向上も実現できます。
Step 5:施策の効果・結果を分析する
タッチポイント戦略を実施した後は、実際にこの施策によってどのような効果・結果を出す ことができたのかを分析しましょう。
カスタマージャーニーマップに基づくストーリーは、あくまで推測であるため、実際の顧客の 反応を分析しながら各タッチポイントの効果を確認していく必要があります。
各タッチポイントごとのKPI(重要業績評価指標)の追跡やデータの収集、顧客への ヒアリングを行い、効果・結果を分析しましょう。
分析をした後は、インサイトに合わせて改善策を出したり、アプローチに使うチャネルや 手法を調整して、タッチポイントのブラッシュアップをします。
戦略的にタッチポイントを運用するためのポイント
ここでは、さらにタッチポイントマーケティングをより戦略的に運用するためのポイントを ご紹介します。
適切なKPI(重要業績評価指標)を設定する
適切なKPI(重要業績評価指標)を設定することで、向けた進捗状況が追跡しやすくなります。
また、数値を見ることで客観的に成果物を分析できるようになるので、コンバージョン率や コスト、サインアップ数、トラフィックなどを重視しながらKPIを設定しましょう。
▼ 関連ページ KPI とは?KGI や OKRとの違いや設定方法を簡単解説
デザイン思考を使って顧客ニーズを把握する
デザイン思考(デザインシンキング)とは、ユーザーの視点に立って自社が提供するサービスや プロダクトの本質的な課題やニーズを明らかにし、ビジネス上の課題を解決するために役立つ フレームワークの1つです。
カスタマージャーニーマップを作るうえでベースとなる思考法であり、顧客のニーズを 分析しながらマップを設定していくときに役立つフレームワークです。
共感、定義、概念化、試作・プロトタイピング、テストの5つのプロセスを通すことで、 顧客のニーズが最大限反映されたタッチポイントやカスタマージャーニーマップが 設定できるようになります。
▼ 関連ページ デザイン思考とは?5つのプロセスと役立つフレームワーク
PDCAをまわす
可能な限り多くのタッチポイントを使ってアプローチすれば成果が出せると言えば、 そうではないのがタッチポイントマーケティングの難しいところです。
また、誤ったチャネルを使ってタッチポイントを設定してしまっている場合、情報が欲しく ない人に自社のプロダクト・サービスが受け取られてしまい、イメージダウンやリソースの 無駄遣いに陥ってしまいます。
このようなリスクを今後避けていくために、各タッチポイントでどのような効果が あったのかや、逆に効果がなかった理由は何かを分析し、PDCAを回すようにしましょう。
PDCAを回すことで、顧客とビジネスがより良いコミュニケーションを取れる適切な チャネルでタッチポイントを設定できるようになります。
▼ 関連ページ PDCA とは?事例を使った回し方やOODAループとの違いを解説
まとめ
タッチポイントとは顧客とビジネスを結ぶ接点のことを指し、企業の認知度の向上や特定の ランディングページに潜在顧客を遷移させるために戦略的に設定されます。
タッチポイントの設定にはブランドの認知度が向上できたり、顧客のリピート率を 維持できたり、ブランドイメージを競争市場で確立できたりと、さまざまなメリットも あります。
タッチポイントにはさまざまな種類があるので、自社ブランドが顧客に持って欲しい イメージや販売したい経路・チャネル、顧客のニーズを分析して、ベストなタッチポイントを 設定することが重要です。
この記事で学んだことを今後のマーケティング戦略で実践してみてください。
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