ブレインストーミングとは? ブレストのやり方と4つのルール(4原則)について解説
ブレインストーミング(brainstorming)とは会議で使用される「集団発想法」であり、 複数人でアイデアを自由に出し合い新たな発想を生むことを目的としています。
日本語では「ブレスト」と省略されることがよくあります。
この記事ではブレインストーミングの正しいやり方や守るべき 4 原則、意味、例について まとめて解説しています。正しいやり方やルールに沿ってブレインストーミングをして、 新しいアイデアを効率的に出せるようになりましょう。
また、Miro ではブレインストーミングの 効果を最大限に引き出すことに役立つブレイン ストーミングツールを提供しています。オンラインのブレストツールを活用することで、 従来のホワイトボードや紙を使ったブレインストーミングよりも多くのアイデアを集める ことが可能になります。
無料でご利用いただけるので、まずはその効果をお試し下さい。
ブレインストーミングとは?
ブレインストーミングとは、問題の解決策や新しいアイデアを発見するために会議で 使用される「集団発想法」です。複数人でアイデアを出し合うことで、短時間でたくさん の新しいアイデアを集めることを目的としています。
ここでは、その意味とブレインストーミングが誕生した背景を紹介します。
ブレインストーミングが注目を集め始めたキッカケは 1930年代後半にアレックス・F・ オズボーン(Alex F. Osborn)氏が広告・マーケティング業界でこの言葉を使い始めた ことにあります。
オズボーンは彼のチームが「良いアイデアを出せない」という悩みに直面していた際に、 ブレインストーミングを新しいアイデアを発見する方法として採用することにしました。
現在も多くの企業がアイデアを効率的に出す方法としてブレインストーミングを 使用しています。
ブレインストーミングの目的
ブレストを開催する主な目的はできるだけ多くのアイデアを生み出し、共有すること にあります。革新的なアイデアやソリューションを発見するためのベストな思考法と 言えるでしょう。
ブレストでは、参加者全員がより自由な発想を持ち、アイデアを共有し合うことで 多角的な問題のアプローチをすることができるようになります。
一般的にブレインストーミングは、複数の人が1つの問題に対してアイデア出しをするため にグループで行われますが、個人でもブレインストーミングをすることも可能です。
紙やホワイトボードに可能な限りアイデアを書き出すことで、取り組んでいる問題を解決する ための方法にたどり着くことができます。
「自由な発想」がメインコンセプトであるブレインストーミングにはこれと言って決まった ルールは存在しませんが、やり方1つでその効果を何倍にも引き上げることが可能です。
さらに、ブレスト中に質問を投げかけたり、さまざまなシナリオのロールプレイをすること により、革新的なアイデアやこれま見落としていた解決策見つけることができるようになり ます。
ブレインストーミングのメリット
なぜブレーンストーミングは、問題解決やアイデア出しのアプローチとして人気があるの でしょうか?ここでは、その多くのメリットをご紹介します。
柔軟な発想でのアイデア出しが可能
ブレインストーミングセッションを開催することにより、参加者全員が柔軟な発想で 各自のアイデアを自由に共有できるようになります。
十人十色のアイデアで多角的にアイデアを出し合うことで、問題に対するベストな解決策を ブレストを通して発見することが可能です。
このような自由な発想を促進する環境こそが組織でのイノベーションを促進すると言っても 過言ではありません。
チームの結束力を高める
ブレインストーミングは問題解決だけのツールではありません。参加者全員の思考や価値観、 信念をオープンに共有できる場所でもあり、お互いのことをより深く知ることにより「チーム としてのつながり」をより強固にできます。
革新的なアイデアを生み出す
ブレインストーミングは自由な発想を通して新しいアイデアを発見するための「集団発想法」 です。
ある特定のシナリオに対して、複数のメンバーで解決策を出し合うことで、自分では思いつか なかったようなアイデアを他のメンバーから引き出すことができます。
多角的なアプローチが可能
ブレストの大きなメリットはセッションに参加しているメンバー全員が制約なしでアイデアを 共有できるというところにあります。
普段、会議での発言に慣れていない人でも、簡単に意見を共有できるという利点から、 さまざまな視点での意見やアイデアを効率的に集めることができます。
短時間で多数のアイデアが集められる
ブレインストーミングには「短時間で多数のアイデアを集められる」というもう一つの 大きなメリットがあります。
通常の質疑応答形式で1つだけの回答に対して議論していくのではなく、一斉にアイデアを メンバーどうしで共有していくことで効率的にアイデアを収集できるようになります。
Miro ボードでは、例えブレスト参加者が 100 人さらには 200 人いても一度に1つの ボードにすべての参加者から同時にアイデアを集めることが可能です。
ブレインストーミングの4原則
ブレインストーミングの種類によって進行方法は変化しますが、このセクションでは ブレインストーミングの効果を最大限引き出すための 4 つのルール(4原則)について ご紹介いたします。
原則 1:質より量に集中する
ブレインストーミングでできるだけ多くのアイデアを集めるためにアイデアの質より量に 集中するようにしましょう。
たくさんのアイデアを出すことにより全体的な解決策を導き出すことができます。
また複数のアイデアを組み合わせて新しいアイデアを作るということも「量」を大切にする メリットの1つだと言えるでしょう。
原則 2:他の意見やアイデアを非難しない
上記でも何度が言ったように、ブレインストーミングセッションにおいてアイデアの 良し悪しはありません。
セッション前のルールとして「他の意見やアイデアを非難しないこと」を参加者間で共有し、 誰もがリラックスしてブレインストーミングに参加できるようにしましょう。
そうすることにより多くのアイデアを1つのセッションを通して集めることができるように なります。
原則 3:楽しく自由にアイデアを出す
常に楽しく自由な発想でブレストを行いましょう。
例えば、毎回新しいテクニックやアクティビティを試してみたり、さまざまなアイス ブレイクをしてみたりすることで、活気のあるブレインストーミングを行うことが できるようになります。
原則 4:アイデアをまとめる
ブレインストーミングでアイデアを出し切った後は、アイデアを個々に放置するのではなく、 関連するアイデアどうしを 1 つのグループとしてまとめることが重要です。
アイデアをまとめることで、さらに新しいアイデアを発見したり、アイデアを発展させて いくことができます。
ブレインストーミングの手法と例
ブレインストーミングには数多くの手法が存在します。ここでは、最も人気のある手法と 例についていくつかご紹介したいと思います。
リバースブレインストーミング
一般的にブレインストーミングはある問題に対する解決策をグループで発見するための アクティビティであり、問題の根本的な原因を特定するために行うものではありません。
しかし、「リバースブレインストーミング」は問題自体や原因についてアイデア出しをする ための手法であり、プロジェクトの初期段階で発生する可能性のある問題や障害を予測する ことに役立つブレインストーミング手法です。
ランダムワードブレインストーミング
ブレインストーミングを行う目的の1つに「新しいアイデアを発見する」があります。 アイデアの良し悪しに関係なく、あるトピックや課題に対して積極的にアイデアを 出していくことで、ベストなアイデアや最良の解決策にたどり着くことができます。
「ランダムワードブレインストーミング」手法は、そんなブレインストーミングを 促進するためのフレームワークです。
ランダムワードブレインストーミングでは、最初に思いつたアイデアや単語をひたすら 共有していきましょう。それらのアイデアや単語を記録し、セッション後にグループ化する ことで、クリエイティブな解決策を発見することが可能になります。
このブレインストーミング手法はテンポ良く行うことができるため、すでに定義された 問題を解決するのに非常に効率的な方法であると言えるでしょう。
マインドマップ
マインドマップとは人が頭の中で考えていることを視覚的に表現するための「思考の 表現方法」です。マインドマップを作成することで、思考の整理や発想がしやすくなります。 マインドマップでは、中心にあるメインテーマから放射線状にアイデアが拡散していき、 新しいアイデアや全体のコンセプトの理解に役立ちます。
ビジネスの場でも課題解決や製品開発、組織改革などでマインドマップが活用されています。 また、最近では手書きの紙やホワイトボードではなく、オンラインのマインドマップツール なども使用して、図が作成されることもあります。 オンラインで作成することによりいつでも自由に編集ができたり、どこにいても情報を共有 できるという点からオンラインのマインドマップ作成が人気になってきています。
SCAMPER法
SCAMPER法とは、創造性開発研究家のボブ・エバールが「オズ・ボーンのチェック リスト」を改良して開発したブレインストーミング手法であり、もともとは青少年の 想像力の向上を目的としたゲームとして使用されていました。
しかし現在では、複雑な問題に対してイノベイティブな解決策を発見できるということで 多くの企業で採用されているフレームワークです。
このフレームワークでは、以下の7つの質問を通して問題を定義します:
Substitute:代わりのものはあるか?
Combine:組み合わせることができるか?
Adopt:応用することはできるか?
Modify・Magnify:改良・調整・拡大できる点はあるか?
Put to other uses:他の使い道がないか?
Eliminate:取り除くものはあるか?
Reverse・Rearrange:入れ替える、再編成できるものはあるか?
以上の質問を通して SCAMPER 法を実施することで多角的に問題に取り組むことができ、 今まで見落としていた解決策やサービスのアイデアを発見することができるようになります。
マンダラチャート
マンダラチャート(マンダラート)は 9×9 のマスで構成される目標達成ツールであり、 目標達成のためのビジョンの明確化や具体的な行動計画の作成に役立ちます。
マンダラチャートの中心にはメインテーマが存在し、それを囲むように8つのサブテーマが 存在します。さらに、各サブテーマの周りにサブテーマを完了するための実行すべき課題や アクションをしていくことで、大きな目標(メインテーマ)を実現するためのステップを 見える化することが可能となります。
また、目標達成までのプロセスの全体像を視覚的に把握できるので、マンダラチャートは プロセスの進捗状況の管理にも役立つフレームワークだと言えるでしょう。
ラピッド・アイディエーション
「ラピッド・アイディエーション」は「ランダムワードブレインストーミング」と類似した 手法ですが、口頭の代わりに手書きでのブレストを行います。
それにより、発言に慣れていない人からも多くのアイデアを収集することができるように なります。
スターバースト
上記でご説明した内容からもわかる通り、ブレインストーミングの内容はチームで 設定した目標や取り組んでいる問題・課題の特性によって大きく変化します。
「スターバースト」は答えを導き出すことではなく、そのトピックに対して質問をし続ける ことに重点をおいた手法です。
質問と問題の間に存在する関連性を分析することで、それまで見落としていた原因や 問題点を発見することができるようになります。
KJ法
KJ 法とは、ブレインストーミングで出したアイデアをカードや付箋に書き出した後に、 系統ごとに情報を分類、グループ化し、情報を整理、分析するブレインストーミング手法 のことを指します。
KJ 法を使用することにより論理的に情報を整理することができ、課題や問題点の 洗い出しや情報の共有が簡単にできるようになります。
バズセッション
バズセッションはミシガン大学のフィリップス教授によって発案されたブレインストーミング手法であり、6人ほどのグループを作り、各グループでディスカッションを行い、最後に他のグループに対して問題の解決方法などを発表する方法のことを指します。
各グループが問題に対して議論したことを共有し合うことにより、参加者全体で問題の解決を図ることができるなどのメリットがバズセッションにあります。
ブレインストーミングのやり方
上記ではブレインストーミングについてや種類について知っていただけたと思います。 このセクションでは実際にブレストのやり方を学びましょう。
1. ファシリテーター(進行役)を選択する
生産的なブレインストーミングにおいて進行役(ファシリテーター)は重要な存在であると 言えるでしょう。
ファシリーテーターはセッション中のガイドラインとして機能し、セッションが散漫に なったり、話が脱線するなどの問題を防ぐことに役立ちます。
また、ファシリーテーターから参加者に質問を投げかけたりすることで、生産性の高い ブレストを実現することができます。
2. コンテキストとトピックが理解されている
生産的なブレインストーミングにおいて、どうしてブレストをするかの理由や最終目標に ついて参加者が理解していることは非常に重要なポイントとなります。
また、ブレインストーミングについてやプロセスについてもセッション開始前に共有しま しょう。
例えば、活用するブレストの手法の説明やどのようにセッションを進行していくのか、 ルールについてなど事前に参加者と共有するようにしましょう。
3. 目標を設定する
実際にブレインストーミングにおいて「自由な発想」は効果的な解決策や革新的な アイデアを発見する上で大切な要素ですが、明確な目標の設定無しではなんの意味も ありません。
このような落とし穴にはまらないようにブレストの目的や目標を明確化し、それに向かって セッションを進行するようにしましょう。
4. 決まった時間内に完了する
生産的なブレインストーミングをするために、あらかじめ制限時間を設けるように しましょう。
ブレストは質より量と言われますが、どんなアイデアでも出し切るまでひたすら セッションを続けても、生産的とは言えません。
例えば、1時間の制限時間を設け、各トピックごとに集中的にアイデアを出し合う ことにより、生産的かつよりスピーディーに質の高いアイデアを出し合うことが可能です。
5. 活用する手法を決める
セッションを始める前に活用するブレストの手法を決めておきましょう。
取り組む問題に応じて、手法を決定することによりセッションの効果を最大限引き上げる ことができます。
例えば、今後発生する可能性のある問題のリスクを引き下げたいのであれば 「なぜなぜ分析」の手法でブレインストーミングを実行することができます。
他にも新しいマーケティング戦略に対してアイデア出しをしたい場合や職場で起きている 人間関係の問題を解決したいなどの場合、「ラピッド・アイディエーション」手法を 活用すると良いでしょう。
6. 基本的なルールを決める
上記のような生産的なブレインストーミングは、決まったルールの中で自由な発想を 使用することで実現できるものです。
そのため「人の意見を非難しない」や「時間通りに進行する」などの基本的なルールは、 セッションを成功させるために不可欠な要素です。
また、ブレストには集団の場での発言に慣れていない人も参加します。 そのため、他の方法でのブレストを行うことで、発言に慣れていない人でも積極的に アイデアを共有することができるようになります。
以下でなるべく発言をしないでブレストをする方法を 3 つまとめてみました。
・チャットやコメント機能を使用してアイデア出しを行う。 ・Miro のようなオンラインホワイトボードの付箋を使用してアイデアを出す。 ・アイデアに関連する画像や動画を活用する。
7. すべてのアイデアを記録する
ブレインストーミングにおいて重要なことは、良し悪しに関係なくできるだけ多くの アイデアを出すことです。
また、これら多くのアイデアを記録する際にはノートや付箋、ホワイトボードなどが よく使用されます。
Miro にはオンライン付箋やブレインストーミングテンプレートなどのツールやフレーム ワークがすべて1つのボードで使用することができ、多くのアイデアを効率的かつ スピーディーに記録することができます。
8. アイデアへの投票と議論をする
アイデア出しが完了した後は、そのアイデアに対して投票や議論を行いましょう。
ベストなアイデアの選択または、いくつかのアイデアを組み合わせて新しいアイデアを 作ることもできます。
また、グループ内で投票を行う場合「ドット投票」などの投票方法が便利です。
例えばドット投票を活用することで、アイデアごとに優先順位を設定することができ、 今後どのように各アイデアを実行すべきかを決めることができます。
9. アイデアをアクションに変える
最終的なアイデアが決まった後は、そのアイデアを実行に移すためのアクションプランの 作成やタイムラインの設定を行いましょう。
Miro のアクションプランテンプレートはアイデアをビジュアルを通して具体的なステップ へと変えることに非常に便利であり、タスクに関するチームメンバー間での認識共有にも 役立ちます。
まとめ
ブレインストーミングは、会議やワークショップでアイデアを生み出すための「集団発想法」 であり、ブレストでのアイデア出しをすることにより、短時間で多くのアイデアを集める ことができます。
ブレストにはさまざまな手法が存在し、取り組んでいる課題やトピックに応じた手法を 活用することで、より効果的にアイデアを生み出すことが可能です。
また、手法だけではなく正しいプロセスや4つのルール(4原則)に沿って実行することに より、その効果を何倍にも引き上げることができます。
新しいビジネスアイデアの発見や課題の解決、勉強にブレインストーミングを使ってみては いかがでしょうか。
Miro のブレインストーミング
また、オンラインワークスペースである「Miro」では付箋ツールなどを使って、 生産的なブレインストーミングを開催することができます。
従来のホワイトボードと違い、オンラインでブレストをすることで、すべての参加者から 一度に多数のアイデアを集めることができ、アイデアのグループ化もグルーピング機能を 使うことで、カテゴリーごとに簡単に情報をグループ化することができます。
以下のリンクからブレインストーミングに便利なツールやテンプレートをご覧ください。