SAFe フレームワークとは?
SAFe とは?
SAFe(Scaled Agile Framework)は、アジャイルプラクティスを企業レベルで実施することに役立つモデルです。つまり、ビジネスの成長に合わせてアジャイルをプロセスに取り入れることを支援することに焦点を置いています。
SAFe は2011年に Dean Leffingwell 氏と Drew Jemilo 氏によって発表されました。当時、ソフトウェアの作成と提供には、従来のプロジェクト管理プロセスが一般的でした。
しかし、変化する市場環境が安定するにつれ企業がソリューション提供を改善するための新しいフレームワークが必要になり、そのニーズに応えるために Leffingwell 氏と Jemilo 氏はSAFeモデルを開発しました。
SAFe は変化する顧客ニーズに対応するため、組織がより優れたソフトウェアとより効率的なシステムを設計することを支援するモデルです。SAFeを導入して、役割を明確にし、依存関係を特定し、ワークフローに構造を追加し、企業レベルでのアジャイルプラクティスを強化することができます。
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SAFeの7つのコアコンピテンシーとは?
SAFe は 7 つのコアコンピテンシー(核となる機能)で構成されています。以下でこれらのコンピテンシーをより詳しく見ていきましょう。
Lean-Agile leadership (LPL)
Lean Agile Leadership (LPL) は、ビジネスリーダーがチームの潜在能力を最大限に発揮させる方法と、アジャイルを全社的に拡大するプロセスを管理する方法を示したコンピテンシーです。
Team and technical agility (TTA)
このコンピテンシーは企業が部門の垣根を超えたアジャイルチームをどのように組織化するかに焦点を当てています。この機能を活用することによりチームでのコミュニケーションを合理化し、プロジェクトの生産性を向上させることが可能です。
Agile product delivery (APD)
Agile Product Delivery (APD) とはターゲット顧客層に価値のある製品やサービスを提供する機能のことです。各決定プロセスの中心に顧客を置くことで、価値を生む製品を顧客に提供し続けることができます。
Enterprise solution delivery (ESD)
このコンピテンシーでは大規模なソフトウェアシステムの開発と展開にアジャイルプラクティスを適用することができます。これにより、企業は複数のアジャイルチームが連携して、より大規模で複雑なプロジェクトに取り組むことができるようになります。
Lean portfolio management (LPM)
Lean portfolio management (LPM) はポートフォリオ開発の価値のフローをビジネス戦略に合わせるものです。リーンでは開発価値のフローは仮説をソリューションに変換する一連の活動のことを指します。
Organizational agility (OA)
組織的なアジリティのテナントは、ビジネスで課題が発生したとき、あるいは市場で予期せぬ変化が起こったときに、迅速に行動することを支援します。
Continuous learning culture (CLC)
CLC 文化を採用することで、アジャイルチームは常に変化し、進化し続けることができるようになります。その結果、常に改善し続けることができ、それがビジネスの成功にもつながります。
これら 7 つのコンピテンシーは SAFe のコアバリューをなすものです。アジャイルチームの行動を決定し、活動に反映させ、全員が足並みを揃えてプロジェクトを進行することに活躍します。
SAFe の 4 つの構成要素とは?
リーンの 7 つのコアコンピテンシーに加え SAFe は他の 4 つの要素で構成されています。それぞれ異なるレベルのスケーラビリティに適しているため、目標やリソースに応じてどれを使うかを選択することが可能です。
以下でこれら 4 つの構成要素を見ていきましょう。
Essential SAFe
Essential SAFe はアジャイル組織への転換を図る際に、最もわかりやすいプロセスを求めている組織のための様式のことを指します。持続可能なアジャイルソリューションを提供するための Agile Release Train(ART)に、関連するすべての役割、イベント、成果物を表すことに役立ちます。
Large solution SAFe
Large Solution SAFe は Essential SAFe のすべての要素も含んだ SAFe 様式の 1 つです。しかし、この SAFe 様式には役割、成果物、イベントなどいくつかの追加要素もあり、組織がより大きな課題を克服することに役立つ様式です。
Portfolio SAFe
Portfolio SAFe は開発バリューストリームの集合体で、戦略とポートフォリオの実行を一致させるものです。Portfolio SAFe には Essential SAFe の要素も含まれており、ビジネスアジリティをするために使用される様式です。
Full SAFe
Full SAFe は最も包括的な SAFe 様式です。この様式にはビジネスアジリティを向上するためのすべてのコアコンピタンスがすべて含まれており、複雑なソリューションのポートフォリオを持つ企業をサポートします。Full SAFe を使用する企業では、ソリューションの構築とメンテナンスに数百人の人員を要することがあります。
SAFe とアジャイルは何が違うの?
SAFe はアジャイルフレームワークの 1 つに分類されますが、SAFe とアジャイルには明確な違いも存在します。ここではその違いについてご紹介したいと思います。
計画方法
従来のアジャイルアプローチではスプリント計画は各反復の開始時に行われます。一方で SAFe での計画プロセスはプログラムインクリメント(PI)計画と呼ばれる時間枠のある方法で行われます。
プロジェクトの認識合わせや計画に役立つ PI 計画フレームワークとは?→
構造
アジャイルは方法論であり、SAFeはフレームワークです。つまり、SAFe アジャイルプラクティスにそってはいるものの、独自の構造を持っていると言えます。例えばSAFe は反復的なアプローチを利用する一方で、アジャイル管理でよく見られるような短いスプリントを常に実行するわけではありません。
チーム規模
通常、アジャイルフレームワークは 10 人以下の小さなチームで使用されます。それ以上になってしまうとプロセスを管理するのが困難になります。しかし、SAFe ではチームの成長に合わせて調整できるフレームワークであるため、長期間の反復作業でも利用することができます。
全体的な目標
従来のアジャイルでは各スプリントの終了時にエンドユーザーに機能的なソリューションを提供することに焦点が置かれていました。SAFe ではより長い期間をかけて徐々にソリューションを開発することに焦点を置いています。このプロセスにより、規模が拡大するチーム内で各担当者がアジャイルプラクティスを容易に拡張することができるようになります。
SAFe が活躍するシチュエーション
以下では SAFe が活用されているシチュエーションの例についてご紹介します。
変化する市場ニーズに対応
顧客ニーズが変化した場合、迅速に対応する必要があります。このニーズの対応に遅れることは、競合他社に機会を奪われるリスクを意味します。しかし、SAFe モデルを使用することで、顧客のニーズを把握し、顧客が求める機能や特徴を提供することができるようになります。
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リスクマネジメント
SAFe はリスクの特定にも役立つフレームワークです。プロジェクトやプロセスにおけるリスクを効率的に評価するために使うことができ、ビジネスにおけるリスクを低減するための予防策を講じることができるのです。
PI 計画の実行
すべての SAFe フレームでは PI 計画が欠かせません。これは Agile Release Train (ART) のチームが集まって、機能について話し合い、ロードマップを計画し、チーム間の依存関係を特定し、ビジョンを一致させるための定期的なイベントとして利用することができます。
SAFe の使い方
上記では SAFe についてや利用されるシチュエーションについてご理解いただけたと思います。このセクションでは SAFe をビジネスで使うためのステップを Miro の「SAFeアジャイルプログラムボード」を使用しながらご説明したいと思います。
役割の特定と配分
SAFe プロセスを開始するには、まず PI 計画から始めます。 PI 計画が開催される前に誰が参加し、どのような役割を果たすかを確認する必要があります。
すべてのSAFeアジャイルチームには、5 つの重要な役割が存在します。
スクラムマスター
スクラムマスターは ART エンジニアとのミーティングにおいてのファシリテーションを担当します。ミーティングが始まる前に全員がスピードアップしていることを確認し、イベントが進行している間のプロセスや会話も管理します。
プロダクトオーナー
プロダクトオーナーはプロダクトバックログとイテレーションプランを管理します。また、アジャイルチームの他のメンバーに全体的なゴールとビジョンを説明する役割も担っています。
プロダクトマネージャー
プロダクトマネージャは、プログラムのビジョンと今後のマイルストーンを提示します。プロダクトマネージャーは、ビジネスの成果が顧客に付加価値をもたらすことを確認することに重要なポジションとして機能します。
RTE(Release Train Engineer) - リリース・トレイン・エンジニア
RTE は、ART のリーダー的なポジションです。RTE はPI計画イベントの計画、管理、ファシリテーションを担当します。
システムエンジニア
システムエンジニアにはユーザーストーリーを分析し、リスクを特定、プロダクトオーナーと PI 目標を選定する役割があります。
これらの役割をどのように割り当てるかを考えるには、アジャイルチームメンバー全員の能力について考える必要があります。
各メンバーの能力をよく理解した上で、その役割をうまくこなせるメンバーを配置することができるのです。例えば、組織づくりやイベント企画が得意なメンバーがいれば、RTE の役割に任命することができます。
プロダクトバックログのレビューとアクティビティの追加
プロダクトバックログのレビューを行い、SAFe プログラムボードにどの情報を追加するかを決めしょう。
製品バックログは製品やサービス、ビジネスプロセスを改善するためのすべてのタスクと活動の概要を示すものです。どの活動が最も優先度が高いかをチェックし、チームと議論する時に役立つ情報です。
Miro にはバックログをチームで効率的にレビューするためのプロダクトバックログテンプレートをご利用いただくことができます。このテンプレートを使用して、すべてのバックログ項目をシンプルでわかりやすいフォーマットでボードに追加しましょう。また、ミーティング中にチームにバックログを共有するための、プレゼンテーションモードも Miro ボードで活用することができます。
また、テンプレートを使用する際にはオンライン付箋も使って各機能を表現することが可能です。付箋を貼ることで、その機能の重要度、担当者、納期を示すことができます。
依存関係の特定
アクティビティごとの優先度を特定した後は、各アクティビティ間の依存関係を特定しましょう。これは、前のタスクが完了するまでアジャイルチームが実行できないタスクをピンポイントで特定することを意味します。
この情報をもとに、プロジェクトの進捗状況やボトルネックになりそうな箇所を確認し、現実的な納期を設定することができます。
ボードに依存関係を追加する場合、どのアクティビティが互いに依存しているかを示すために、接続線を使用することができます。SAFe プログラムボードテンプレートを見て、実際に使ってみてください。
ボードをさらに見やすくするために、線を色分けすることもできます。例えば、ソフトウェア開発に関する依存関係は青、営業に関する依存関係は黄色といった具合です。そうすることで、一目で情報を把握することができるようになります。
期日とマイルストーンを設定
依存関係を明確化した後は期日やマイルストーンの設定をしましょう。一般的に SAFe スプリントは 1 週間または長くて 8 週間まで続くことがあります。
既存のアジャイルプラクティスでビジネスをスケールさせるためには、スプリントに時間をかけるようにしましょう。あまりに早く多くのことをやろうとすると、ビジネスのアジャイル原則が損なわれる危険性があります。
長期間のイテレーションでは途中でマイルストーンを設定する必要が出てきます。マイルストーンを設定することでイテレーションを分割し、最終的なゴールに向かうプロセスをより見やすい形でチームと共有することができます。
プログラムボードの運用
アジャイルチームの全員からプログラムボードにインプットを収集した後は、プログラムボードの運用に取りかかりましょう。
ここでは次のイテレーションにおける役割と責任を、全員が明確に理解していることを確認することが重要です。
アジャイルチームがイテレーションに取り組んでいる間、プログラムボードに沿って彼らの進捗状況を常に確認することができます。例えば、納期やマイルストーンを確認することで、全員が期限内に仕事を納めることができるかを確認することができます。
また、イテレーションが進行している間、作業の進捗や品質についてメモを取ることもできます。この情報は、スプリントレトロスペクティブを実施したり、別のPI計画セッションを実施したりする際に役立ちます。
最終的な改善点を特定した際は、今後のレビューのためにプロダクトバックログに情報を記載しておきます。
SAFe の実施に Miro を活用しましょう!
SAFe モデルはビジネスの成長に合わせてアジャイルプラクティスを拡張しようとするエンタープライズビジネスにとって非常な便利なツールです。
SAFe モデルをビジネスに導入するには、Miro でアカウントを作成て SAFe プログラムボードを Miro ボードに追加することでSAFe モデルを活用し始めることができます。チームと最新情報を簡単に共有し、部門を超えたコラボレーションを実現し、1 つのボードを通してプロジェクトを管理しましょう。